牧島かれんデジタル相は10月8日の会見で、NTTの秘書室長から1人5万円のコースで2回にわたり接待を受けたという週刊文春の報道を認めた。新大臣の就任直後のスキャンダルは政権にとって痛手だが、そもそも牧島氏の閣僚入りは自民党内でも大きな波紋を呼んでいた。自民党関係者が明かす。
「44歳という閣内最年少で入閣した牧島氏は、総裁選で岸田文雄首相と争った河野太郎氏の陣営にいた中心人物です。横須賀出身の彼女は、父親が小泉純一郎氏の秘書を務めており、政治家になる際には河野洋平氏の地盤を引き継いで神奈川17区から当選した。その息子である河野太郎氏や進次郎氏には大きな恩がある。
そうした縁から、彼らを率いて自民党神奈川県連のトップに君臨していた菅義偉・前首相にも寵愛され、菅政権発足時に女性として初となる自民党青年局長に抜擢されました。麻生派でもあるため、今回の総裁選では当然、河野氏を応援しており、負けた後は『多くの支援をいただいたことはありがたいが、結果は結果。受け止めるしかない』と肩を落としていた。
河野氏は党広報本部長に格下げ、進次郎氏は無役で菅氏も蟄居状態ですから、彼女自身、しばらくは冷や飯を覚悟していたところ、まさかの大臣抜擢。彼女にとっては青天の霹靂だったようですが、党内でも『なんで河野を応援したのに入閣できるんだ』と不満の声が上がっています」
若手の女性議員を抜擢したかったという岸田首相の意向もあるだろうが、わざわざ河野陣営から一本釣りした背景には、甘利明・幹事長の影響が窺える。
「神奈川13区選出の甘利氏は、これまで神奈川県連では傍流でしたが、今回の総裁選で一気に立場が逆転した。甘利氏は自ら幹事長に就くとともに、同じく岸田氏を応援した“子分”の山際大志郎氏(神奈川18区)を経済再生相にねじ込んだ。
牧島氏の起用は、菅・河野・進次郎ラインから彼女を引き剥がすことにつながる。菅氏の選挙区は横浜、河野氏は平塚、進次郎氏は横須賀と海沿いなのに対して、甘利氏と山際氏の地盤は内陸部で、以前から両派には毛色の違いがあった。小田原や秦野、足柄などの山間部を地盤とし、同じ麻生派でもある牧島氏は、甘利氏にとって“神奈川内陸部連合”を築くうえでのキーパーソンなのでしょう。