カジュアルファッションの看板アイテムとして知られるジーンズ。しかし、近年は「若者のジーンズ離れ」といわれ、特に男性の着用がめっきりと減ってしまった。そんな中、ユニクロは今秋からプロモーションに桑田佳祐と綾瀬はるかを起用して「JEANS AGAIN!」のキャッチフレーズで商品展開を強化している。果たしてジーンズ文化は復権するのか。ファッションジャーナリストの南充浩氏が、着こなし方のポイントとともにレポートする。
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これまで、ジーンズは定期的に大ブームを起こしてきた息の長いアイテムです。ここ30年間で考えても1990年代前半のソフトジーンズブーム、1990年代半ば以降のビンテージジーンズブーム、2005年からのブーツカットのプレミアムジーンズブーム、2008年以降のスキニージーンズブームという具合です。
しかし、スキニージーンズブームが2015年頃に終了してからは、ジーンズがブームとなることはありませんでした。それまでは特にメンズのカジュアルスタイルの王道アイテムとして君臨していましたが、2015年以降は若い男性のジーンズ離れが顕著でした。
若い女性に「ジーンズ回帰」の動き
一方、若い女性は今年の春夏あたりからジーンズの着用率が増えたように見えます。
今年レディースで人気になったジーンズは「股上深めで、ややゆったりしたストレートシルエット」が主流で、これは1990年頃に流行していた形と酷似しています。もちろん、今それを穿いている20代、30代の女性は記憶にはないでしょうが、51歳の筆者にとっては、大学生の頃に女子学生が穿いていたので懐かしく感じられます。
しかし、秋の彼岸を過ぎても若い男性には“ジーンズ回帰”の現象はあまり見られません。繁華街などではスキニージーンズを着こなすスタイルのいい若者もいますが、それ以外の層にはほとんど受け入れられていません。
かくいう筆者も5年ほど前からジーンズを穿くことがめっきりと減りました。現在愛用しているズボンは、ワイドテイパードスラックスやストレッチ混のジョガーパンツです。なぜならジーンズよりも穿いていて楽だからです。ワイドスラックスはシルエットにゆとりがありますし、ストレッチ混のジョガーパンツは伸縮性も高い。
それに比べるとジーンズはスキニージーンズを除いて同じストレッチ混でも、伸縮性が弱い場合が多く、身動きが不自由に感じます。またスキニージーンズはストレッチ性こそ高いですが、細くて脚に貼りつきすぎて圧迫感があります。そして真夏には他のズボンよりも暑く感じてしまいます。ですから穿かなくなってしまいました。
恐らくジーンズ離れをした若い男性も同様の意見を持っていると思います。そして、若い男性が穿かないことに目が慣れてしまったため、ジーンズは“中高年のズボン”という風に見えてしまい、ますます若い男性が敬遠する──という悪循環に陥ってしまっているのではないでしょうか。