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『日本沈没』小栗旬は熱き官僚役 日曜劇場が描く”信じられる”リーダー像

小栗旬

小栗旬は『日本沈没-希望のひと-』で熱き官僚を演じる

 今期の秋ドラマが続々とスタートしている。中でも注目を集めているのが日曜劇場『日本沈没-希望のひと-』(TBS系)だ。小松左京氏の原作をアレンジしてドラマ化。2023年の東京を舞台に、小栗旬が演じる環境省の官僚が日本沈没という危機に立ち向かっていく姿が描かれる。コロナ禍の今、リーダーを描く意味とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 10日(日)21時、日曜劇場の新作『日本沈没-希望のひと-』がスタートします。

同作は1973年に刊行された小松左京さんの名作小説を大胆にアレンジ。当時から48年の時が過ぎていることもあって、設定の変更やオリジナルキャラクターが多数見られます。

 同作のキャッチコピーは、「信じられるリーダーはいるか」。また、予告映像には「“目に見えない敵”と闘え」「人々の“希望”を絶やさないように」「どんな状況に立たされても絶対にあきらめない人がいる」というテロップやナレーションがありました。これはそのまま「コロナ禍に悩まされている現在に置き換えられるフレーズ」と言っていいでしょう。

さらに主人公の天海啓示(小栗旬)が、「私は今、日本の未来の話をしているんです」「俺は一人でも多くの人の命を助けたかった。ただそれだけだ」「俺がすべての責任を背負う。俺は俺なりのやり方で闘ってみる」「日本の未来はわれわれにかかっているんです」と熱く語るシーンが公開されています。

 いずれも視聴者が今、日本のリーダーたちに言ってほしいようなセリフばかり。天海が「こんなリーダーがいたら……」「こんなリーダーなら信じたい」と思わせるキャラクターであることがわかります。

今の日本に必要なリーダーが続々誕生

 振り返ると、日曜劇場の前作『TOKYO MER~走る緊急救命室~』のチーフドクター・喜多見幸太(鈴木亮平)も信じられるリーダーでした。喜多見は「待っているだけじゃ、助けられない命がある」というポリシーを持ち、自らの危険を顧みず、命がけで患者を救っていく姿勢を徹底。高い医療技術に加えて、判断力や決断力、正義感や度胸を持ち合わせた理想的なリーダーだったのです。

 さらにもう1作前の『ドラゴン桜』桜木建二(阿部寛)も、暴言こそ吐くものの、常に悩んでいる生徒たちに目を配り、道しるべを示していました。東大合格と学園存続の危機を救うという結果を出したことも含め、登場人物と視聴者の両方にとって信じられるリーダーです。

 それ以前は、入れ替わりファンタジーの『天国と地獄~サイコな2人~』、恋愛ミステリーの『危険なビーナス』、勧善懲悪のビジネス作『半沢直樹』、タイムスリップミステリーの『テセウスの船』が放送されました。これらと比べると、「今年の3作がいかに信じられるリーダーにスポットを当てた作品であるか」がわかるのではないでしょうか。

 また、小栗旬さん、鈴木亮平さん、阿部寛さんと、熱く力強いイメージのある主演俳優を起用していることも、それを裏付けています。3人ともメッセージ性の高い演技を得意としているだけに、リーダーとしての説得力は十分。制作サイドの「今の日本にはこういうリーダーが必要ではないか」「こんなリーダーの活躍を描けば視聴者は喜んでくれるのではないか」という狙いをそつなく体現しています。

 今秋の『日本沈没』では、主人公・天海を筆頭に次代を担う若手官僚11人で構成された“日本未来推進会議”の組織的なリーダーシップにも期待大。なかでも、議長を務める常盤紘一を演じる松山ケンイチさんは、天海とは異なるリーダー像を見せてくれそうです。

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