学生三大駅伝の初戦となる10月10日の出雲駅伝で、東京国際大が史上初となる初出場での優勝を飾った。絶対エースのイエゴン・ヴィンセント(3年)が最長区間となる最終6区に配され、前日の会見で大志田秀次監督は「トップと45秒差以内でヴィンセントにタスキが渡れば優勝が見えてくる」と話していたが、フタを開けてみれば5区終了時点で2位の東洋大に28秒差をつけ、トップでタスキリレー。ヴィンセントが区間賞の快走でゴールテープを切った。
ケニアからの留学生であるヴィンセントは、大学1年次の箱根駅伝は3区で、2年生として迎えた今年の箱根では“花の2区”で区間新記録を樹立し、現役学生最強ランナーの呼び声高い。その一方、例年11月に開催される三大駅伝の2戦目にあたる全日本大学駅伝には、一昨年、昨年と出場していない。スポーツ紙デスクが解説する。
「東京国際大ではヴィンセントと同学年に、同じくケニアからの留学生で高校駅伝の強豪・仙台育英出身のルカ・ムセンビ(3年)がいます。この2年間、全日本大学駅伝にはヴィンセントではなくムセンビが起用されている。2年連続で最長区間の最終8区を走ったムセンビは、各校のエースを相手に一昨年は区間賞、昨年も区間2位という結果を残している。
学生三大駅伝のうち、箱根駅伝、全日本大学駅伝には留学生の出場は1人までという制限があるが、出雲駅伝だけは制限がないため、“今年の東京国際大はヴィンセント、ムセンビの2枚を起用すれば出雲は圧勝では”との声もあったが、大志田監督はヴィンセントのみを起用し、勝ち切ってみせた。今年11月の全日本ではヴィンセントを使うのか、ムセンビを使うのか、采配に注目が集まります」
注目は「相乗効果」
箱根駅伝では2006年から、全日本大学駅伝では2011年から留学生の出場が1人に制限されたこともあり、同学年に主力級の留学生が並び立つことは決して多くない。ケニアからの留学生を起用した先駆けである山梨学院大などは、3~4年おきに力のある留学生が入学するサイクルが見て取れる。
「東京国際大では、2人の留学生が同学年にいることが、いい効果を発揮しているように見える。今年1月の箱根駅伝では、2区の区間新を出したヴィンセントのインタビューの際に、高校時代から日本にいるムセンビが通訳を務め、ファンの間では微笑ましい光景として話題になった。出雲王者となった東京国際大が、今季はこの2人をどう起用して、“相乗効果”を発揮させ、大学駅伝三冠を目指していくのかが注目です」(同前)