いよいよ4年ぶりの衆院選挙だ。この間、政治家の不祥事や失言が相次ぎ、消費税が増税され、コロナ失政で国民は苦しめられた。そうした政治に有権者の審判が下される。
国民の不満の高まりを恐れた与党・自民党は総選挙直前に首相を交代させ、岸田文雄・新総理は「総裁選の盛り上がりと新総理へのご祝儀ムードがあるうちに選挙してしまえ」と“不意打ち解散”に打って出た。就任わずか10日後の10月14日に解散、10月31日投開票という史上最短の選挙戦だ。
だが、各紙の調査で岸田内閣の支持率は40~50%台。支持率30%台だった菅前内閣より回復したとはいえ、発足当初としては過去最低クラスだ。
選挙情勢分析に定評がある政治ジャーナリスト・野上忠興氏は、「自民党が看板を代えても、有権者は安倍─菅政権時代の不祥事やコロナ失政を忘れていないことを示している」と指摘する。
そこで本誌・週刊ポストは解散直前の10月12日時点の野上氏の情勢分析から、各小選挙区と比例代表を合わせた全465議席の当落、各党獲得議席をシミュレーションした。
予測議席数は、自民党は小選挙区171議席、比例68議席で合計239議席。衆院での単独過半数(233議席)をなんとか維持できる水準だ(政党別獲得議席予測は別掲表参照)。
自民党が菅内閣当時の今年8月に行なった独自調査では「最悪のケースでは200議席割れもあり得る」(自民党選対幹部)と公明党を合わせても野党転落の危機だっただけに、首相交代で下野は免れそうだが、それでも前回総選挙(284議席獲得)より「45議席減」の大幅後退が予測される。
国会に与野党伯仲状態が生じ、与党が衆院で憲法改正発議に必要な「3分の2」を失うことは確実な情勢だ。
それだけではない。自民党は前回総選挙で218の選挙区で勝利したが、今回は170前後にとどまる。選挙区で100人近い落選者が生まれ、重複立候補する比例代表での復活当選は“狭き門”となる。