中国では不動産業界最大手の恒大集団の債務不履行危機が注目を浴びているなか、不動産大手の花様年集団も10月初旬、約2億ドル(約226億円)の社債を返済できなかったと発表し、事実上の倒産に追い込まれたが、同集団の創業者である曽潔氏は曽慶紅元国家副主席の姪であることが明らかになった。
曽慶紅氏と習近平国家主席は少年時代から親しく、習氏は曽氏を「お兄さん」と呼ぶほどだった。まだ地方幹部だった習氏が中央政界に進出し、中国の最高指導者に就任したのも、当時の江沢民主席に次ぐ実力者だった曽氏のバックアップがなければ、実現しなかったともいわれている。
しかし、今回の花様年集団の経営破綻で、両者の関係が悪化していることが裏付けられた形だ。
曽潔氏は1996年に花様年集団を創設。2020年の中国不動産企業ランキング「100強不動産企業」で第51位だった。しかし、恒大集団の債務不履行問題が表面化すると、借金経営体質が投資家から警戒され、資金繰りが悪化し、債務不履行に追い込まれたとみられる。
しかし、花様年集団はこれまでも何回か、経営危機を乗り越えてきたが、そのつど、曽潔氏が頼りにしてきたのが叔父の曽慶紅氏だった。
曽潔氏の父、曽慶淮氏は曽慶紅氏の弟。兄の政治力からか、中国文化部(省)の特別巡視員、中華民族促進会副会長、文化部駐香港特派員などを務め、中国国内や香港の芸能界を牛耳っていたとされる。また、曽慶紅氏が習氏と親しいことも、曽慶淮一家にとっては頼みの綱だった。
習氏と曽慶紅氏は義兄弟のような親密さで、清華大学を卒業して党中央軍事委員会で働き始めたばかりの習氏は曽慶紅氏のことを「慶紅兄さん」と呼んでいたほどで、2人は助け合ってきた仲だった。