日々、私たちをウイルスの危険から守ってくれるマスク。実はその下では、黙々とシミ予備軍が生み出されていた。「マスクなんかどれでも同じ」「どうせ見えないから何も塗らない」と油断していると、コロナ収束後に大打撃を受けるかも!
外出時にはUVカット効果があるマスクを着けているし、そもそも、この2年、夏は海やキャンプもがまんしたし、出かける頻度が減って、あまり日光に当たっていない。それなのに、なぜか日に日に顔のシミが増えている気がする……。
残念ながら、それは気のせいではない。実は、コロナ禍とシミには大きなかかわりがある。
「シミ対策として紫外線を意識する人は多いですが、摩擦の刺激を気にしていない人が多いことが問題です」
そう話すのは、はなふさ皮膚科院長の花房火月さんだ。
「摩擦」は紫外線と同じくらいシミを増やす重大な原因であり、コロナ禍の影響で、今後ますますシミに悩む人が急増するという見通しもある。
その原因は「マスク」。肌とマスクが擦れることによって、私たちの肌にシミができやすくなっているのだ。
マスクが「隠れジミ」を増やす
摩擦がシミを生むメカニズムを、化粧品会社ドクタープログラムの製品企画担当、北岡薫さんが解説する。
「肌の表皮の奥には、メラノサイトという色素細胞が存在します。メラノサイトはシミの原因となるメラニンを作り出す、いわば“メラニンの工場”です」
髪の毛や瞳が黒いのもメラニン色素の働きによるものだ。メラニンには、外的刺激から細胞の中のDNAを守るという大切な役割がある。
「そのため、紫外線や摩擦で皮膚が刺激されると、表皮を形成する角化細胞はメラノサイトにSOSを出します。するとメラノサイトはメラニンを生成し、角化細胞に送り込む。つまり、それによって細胞の核は外的刺激から守られるのです。
通常は皮膚の新陳代謝であるターンオーバーによってメラニンを含んだ表皮は1か月程度ではがれ落ちますが、メラニンが異常に増えてしまったり、ターンオーバーが滞って排出できずに蓄積すると黒ずんでシミになってしまうのです」(北岡さん・以下同)