衆議院が解散し、事実上選挙戦に突入した最初の週末である10月16日、応援のため兵庫県入りした小泉進次郎氏が永田町の風習に異を唱えた。衆院議長が解散を宣言した後に、本会議場で万歳三唱をする慣例を批判したのだ。
「みなさん、万歳三唱をみましたか。解散のときにみんな、万歳を言うんです。なんで言うんですか? 国民のみなさんに大声を出すのをやめましょうと言っているじゃないですか。本会議場でなぜ、大声でばんざーいって言っているんですか」(日刊スポーツ10月16日付)
10月17日付日経新聞朝刊のコラムでは、コロナ以前から進次郎氏が「なんで万歳するんですか、わかりませんよね。だからしないんです」と疑問を呈していたことから、「惰性や前例主義の壁をどうぶち破るか」が課題だと紹介された。しかし、自民党関係者は、「いかにも進次郎氏らしい発言」だと呆れながら首を傾げた。
「進次郎氏の発言はいつもそうです。レジ袋を有料化する際にも『辞退するのが当たり前の社会にしたい』と言ってレジ袋を欲しがる人=悪のイメージを植えつけました。自分の改革に賛同する人は未来志向、反対する人は守旧派だと見せたいのでしょう。たしかに万歳三唱は合理的でないかもしれませんが、この言い方では万歳している人たちにとって、『自分らがバカみたいと言いたいのか』と不満が出てしまう。正直『またか』という感じですね」
進次郎氏のこうした物言いが、党内での立場を悪くしているのは間違いない。河野太郎氏を担いで負けた9月の総裁選では、安倍晋三氏が実質オーナーを務める細田派を念頭に「最大派閥の方から高市(早苗)さんと岸田(文雄)さんを支持すると発言があったと聞き及んでいる。これは言い換えれば河野太郎は絶対だめだということ。そのこと1点をもってしても誰が自民党、日本を変えられる新しいリーダーかは明らかだ」と発言して党内の不興を買った。前出の自民党関係者が続ける。
「この進次郎氏の発言には、自らの考えで高市氏や岸田氏を支持していた若手議員からも『我々がすべて派閥の論理で動いていると決めつけないでほしい』と不満の声が上がりました。総裁選後、進次郎氏は冷や飯を食わされることになりましたが、党内ではあまり同情の声は聞こえません。
対照的に、進次郞氏の盟友だった福田達夫氏は、今回の総裁選で若手議員を束ね、派閥に囚われない投票行動を呼びかける『党風一新の会』を率いました。最後は岸田氏支持を表明したものの決してその考えをメンバーに押しつけることはなかった。その言動は若手議員の信頼を得て、今や若手のリーダーは完全に進次郎氏から福田氏にシフトした印象です」