独自の宇宙ステーションを建造し、宇宙飛行士3人を交代で送り込むなど、活発は宇宙開発に取り組んでいる中国だが、これらの宇宙プロジェクトの最高司令官は中国人民解放軍の最高幹部の1人であり、実質的な「人民解放軍宇宙軍のトップ」が中国の宇宙計画を進めていることが明らかになった。
中国紙「北京青年報」によると、この人物は「中国有人宇宙飛行工程総指揮」の李尚福氏(63歳)で、「宇宙ステーション段階飛行任務指揮部総指揮長」というポストも兼務。また、李氏は兵器・装備品の管理部門に当たる中国共産党中央軍事委員会装備発展部長(大臣級)で軍の最高位の上将でもある。それと同時に、李氏はロシアから戦闘機やミサイルシステムを購入するなど米国による対ロ制裁に違反したことで米国政府から制裁対象に指定されている曰く付きの人物だ。
中国は今年9月中旬、中国独自の宇宙ステーションに3か月間滞在して、船外活動などを行ってきた宇宙飛行士3人が帰還した。3人が乗った宇宙船「神舟12号」は今年6月、宇宙ステーションの基幹となる施設「天和」とドッキング。3人は3か月間の滞在中に2回の船外活動や長期滞在に必要な技術実験に加え、宇宙ステーションの本体である「天宮」の建設任務にも携わっている。
中国は3人が帰還した3日後の9月20日、第2次宇宙滞在クルー3人のための物資を積んだ貨物飛行船を打ち上げた。この3人の交代要員として女性1人を含む3人の宇宙飛行士が10月16日に宇宙ステーションに到着、滞在を開始した。滞在期間は前回の2倍の半年間となる。日本の宇宙飛行士も滞在したことで知られる国際宇宙ステーションは日本や米露など16カ国の連合体によって建設、運用されているが、老朽化が進んでおり、天宮は10年後までに地球近傍の軌道で運用される唯一の宇宙ステーションとなる可能性がある。