千葉県北西部を震源にした地震が、10月7日22時41分に発生した。埼玉県川口市や東京都足立区などで震度5強、そのほか関東の広い範囲で震度5弱の揺れが観測された。震源の深さは75km、地震の規模を表すマグニチュードは5.9と推定される。東京23区や埼玉県で震度5強を観測したのは、東日本大震災以来だった。
東京都新宿区にあるタワーマンションの22階に住む吉田あかりさん(仮名・52才)は7日の夜、“苦行”を強いられた。
「エレベーターが停止して、22階まで非常階段で上がる羽目になったんです。高齢になったらタワマンには住めなくなるとは思っていたけど、いまの時点でこんなにつらいとは思いませんでした」
タワーマンションや高層ビルは耐震や免震が義務付けられているため、建物が崩壊する可能性は低い。しかし、その免震機能により「長周期地震動」という特有の揺れが起こり、命の危険があるという。「長周期地震動」は大きくゆっくりと揺れるのが特徴で、地震が収まった後も10分ほど続くケースがある。
首都直下型地震や南海トラフ地震で発生する、長周期地震動・震度4の場合、被害は甚大だ。テレビやテーブルランプなど、台の上にのせられたものは、すぐさま床に叩きつけられる。冷蔵庫の扉がすべて開き、中身が床に散乱。その後、倒れた棚が揺れに合わせて部屋中を移動し、テーブルの下にも押し寄せる。小さな子供やペットを家具が直撃すれば、けがだけでは済まないかもしれない。命を守るためには、初動が肝となる。防災アドバイザーの国崎信江さんがアドバイスする。
「長周期地震動は次第に揺れが強くなります。揺れが小さいうちに、エレベーターホールや廊下など危険の少ない場所に逃げ込みましょう」
エレベーターが停止している場合は、非常階段を使ってすぐに避難するのも避けたい。地上を目指す人で雪崩が起きて、けがをする恐れがあるからだ。揺れが収まるのを安全な場所で待ち、落ち着いてから避難しよう。
コンビニおでんが凶器に変わる
日々の買い物で見慣れた風景も、一瞬で変わってしまう。高い陳列棚が次々と倒れ、特売品が置かれたキャスター付きワゴンが生き物のように動き出し、猛スピードで客にぶつかる──。
スーパーやコンビニなどの場合は、まず天井まであるような高い陳列棚や、酒など瓶が多い売り場から離れたい。さらに、コンビニは窓ガラス付近も危険だ。
「スーパーであれば、トイレやスタッフ通用口の前がいちばん安全です。コンビニの場合はおでんや肉まんなどの調理器の近くは、やけどの危険があるので距離を取りましょう。買い物かごをかぶって頭を保護するのもおすすめです」(国崎さん)