美味しい新米が味わえる季節となった。2021年の新米トレンドの世界を探ってみよう。
魚沼コシヒカリをはじめ、秀でた産地や品種などを特定した「ブランド米」 。その数たるや約800種、さらに毎年、各産地が力を入れ新品種を世に送り出す。
「ブランド米の開発には10年かかる。つまり、10年後の気象や消費者の嗜好を予想しながら品種改良が行なわれてきたのです」
こう語るのは、ブランド米プロデュースに関わった経験を持つ、五ツ星お米マイスターの西島豊造氏。鳴り物入りでデビューしつつ、2~3年後に市場から消え去る銘柄は数多い、という厳しい世界なのだとか。
「近年のブランド米は大粒化が進み、弾力や甘味、コクが求められます。若い消費者には、粒感がしっかりとして食べ応えのあるタイプが人気です」(西島氏)
西島氏作成の食味チャートを頼りにすれば、自分好みの米を探しやすい。注目度が高く売り切れ必至のブランド米でも、入手しやすいのが新米シーズン。米の鮮度が高く、潤沢な在庫のあるうちが狙い目だ。
マスターしておきたい新米を炊く新常識
せっかく新米を入手したら、新米の魅力を活かす方法で炊きたいもの。やはり普通の米とは炊き方を変えるべき? 「いいえ、新米も普段通りに炊いて」と西島氏。新米は水分含有量が多いから少なめの水加減で炊く……のはひと昔前の話。現在はカビ汚染防止のため、農林水産省のガイドラインで「玄米の状態で一律15%以下の水分含有量」と定められている。つまり、新米も貯蔵米も水分含有量は同じ。ただ、同じ炊き方でも新米はツヤやもっちり感が比較的強く、新米らしさはきちんと堪能できる。