テレビ朝日の「バス旅」で自由奔放に振る舞う姿が印象的な徳光和夫(80才)が 初の自伝 『徳光流生き当たりばったり』(文藝春秋刊)を上梓した。アナウンサーとしてあれだけ成功を収めた彼は、ギャンブル狂としても有名。その全貌にプロインタビュアーの吉田豪氏が迫る。週刊ポスト2021年10月29日号掲載記事の超ロングバージョンをお届けします。(全4回の第3回)
徳光:ごめんなさいね、『吉田豪の部屋の本』(吉田の近著)っていう、このなかに出てくる人、僕は誰一人、知らなかったんですよ。
吉田:まあ、そうでしょうね(笑)。
徳光:あなたをすごいなと思ったのは、僕いま読むの遅いんだけど、一日半で全部読みました。でも、内容もわからないんだよ。
吉田:みんなが何を言ってるのか(笑)。
徳光:ところが次のページ、次のページと面白くなってきて、アイドルでこんな子たちがいるのかと、こんな言葉を知っている子がいるのかとか、こういう常識、あるいは非常識を持っている女の子たちがいて、これだけアイドルの本音を見事に引き出している本はないなっていうふうに思ったんですよね。
僕もAKB48の選挙の司会なんかをやって、あの子たちが一生懸命にコメントをする。やっぱり(山口)百恵ちゃんとか(中森)明菜ちゃんとか(松田)聖子ちゃんとか、あの子たちはみんな自分の言葉を語らなかったんですよ。止めようとしてましたよね、事務所のほうもね。それが秋元康さんが、AKB48は自分の言葉を自分で語れ、と。菅(義偉)さんに一番ほしかったことでありますけど、それを彼女たちはやったわけじゃないですか。
吉田:生放送で好きにやれっていう。
徳光:見事にね。でも、あれも実は本音じゃないなということをこの本で知りましたよ、僕は! ホントに見事なほどいまの女の子たちは勉強してるなっていうことを、特に声優の人たちはすごいですね。ただ単に声優をやってるんじゃないですね。声優をやりながら、いろんな興味を持ち、好奇心を持ち、それに自ら着手していってますよね。誰一人知ってる子もいないし、誰一人関心のある子もいないんだけど、最後まで読んじゃったね。
吉田:そっちを読んでると思わなかったですよ。最近だと敏いとうさん(ムード歌謡グループ「敏いとうとハッピー&ブルー」リーダー)のインタビューは、徳光さんは引っかかるかなと思うんですけど。
徳光: ちょっとそれいつ出るの?
吉田:ダハハハハ! もう出てます、あれはお薦めですよ。敏いとうさんから完全にヤバそうな話しか聞いてないヤツがあるので。
徳光:ヤバい話をよりヤバく言うだろ、ちょっと眉唾もあると思うんだよね。
吉田:そうなんですよ(笑)。コーラス界のマフィアと呼ばれるだけの話だらけで。体を悪くしてあんまりしゃべれないから奥さんがサポートしてるんですけど、奥さんが話すことも物騒なんですよ。「あなた、挨拶がないっていうことで、競艇場であの人をさらったじゃない」みたいな話を普通にするんです。
徳光:ハハハハハハ! そうなんだ。そっちはホントかもしれません、奥さんの話は。あのね、彼に競艇を教えたのは僕ですから。
吉田:そうなんですか!! 確かに敏いとうさんも相当なギャンブル好きでしたもんね。
徳光:好きですね。競艇場に連れて行って、あんまりこういうのをやったことがないって言うから、そしたら入れ込んじゃって。俺、奥さんに恨まれてると思うんだけど、競艇をやっていなければ、それなりに残せてたよ。
吉田:奥さんは相当ボヤいてました(笑)。
徳光:そうでしょ? 誘わなければよかった。あんなに夢中になって、人から金を借りてやるまでだとは思わなかったんだよね。僕は人からお金を借りてませんから。もちろん消費者金融では借りますよ。
吉田:あ、消費者金融では借りる(笑)。