今や生活に欠かせないスマホ。便利な反面、犯罪被害に遭う危険性もはらんでいる。最近、増えている詐欺手口の具体例を紹介しよう。
ID、パスワードなど個人情報を狙う詐欺通知はなりすましでやってくる!
大阪府のパートタイマー・B子さん(50才)のスマホに、ある日カード会社から「利用停止」の連絡メールが届いた。「利用停止は困るので、すぐ復旧したい」と考えたB子さんは、メールにあるリンクをクリックし、現れた本物そっくりの偽サイトにIDやパスワード、クレジットカード番号を入力したところ、クレジットカード情報を不正利用され、高額な商品を購入される被害に遭ってしまった。
B子さんのように、実在の会社を騙って個人情報を詐取する「フィッシング詐欺」の被害者も後を絶たない。
詐欺メール撲滅の注意喚起を行っている「三井住友カード」広報の伊藤憲一郎さんは、次のように注意を促す。
「弊社から、利用確認のメールやSMSをお送りすることはありますが、そのリンクをクリックしても、いつどこでいくら買い物をしたか、それがあなたの利用したものかどうかを確認する画面のみが表示されます。決して、上にあるようなIDやパスワード、クレジットカード番号のような個人情報の入力画面は出てきません。それが出た時点で、偽サイトです。被害が保障されない場合もあるので、絶対に入力しないでください」
「ヤフージャパン」も同様に、注意喚起を発信している。
「メールやSMSの差出人も偽装が可能なので、本物かどうかを見分けるのは難しい。本物かわからないメール内のリンクには、触れないことが鉄則です。もし『本物の通知かもしれない』と気になることがあれば、公式アプリや公式サイトからログインして確かめるのが安全です」(ヤフー広報・小澤恵さん)
日本スマートフォンセキュリティ協会によれば、ここ10年でIT関係の脅威が激変したという。
「10年前はメール誤送信や不正持ち出しなど、人が起こす情報漏洩が脅威の中心でした。それが、2021年の10大脅威(情報処理推進機構(IPA)発表の「情報セキュリティ10大脅威2021」より)の1位がスマホ決済の不正利用で、2位がフィッシングによる個人情報の詐取。まさにガラケー時代にはなかった個人情報や金融資産を騙し取る道具として、スマホは狙われているのです」(同協会・啓発事業部会長・藤平武巳さん)