同居家族の作るご飯が不味い──いわゆる“メシマズ”問題はネット上でもたびたび話題になっているように、全国の食卓で日常的に起きていることのようだ。「独創的すぎる」メニューはどのようにして誕生するのか。
「イチゴジャムのトンテキ」「桃入りアヒージョ」「味噌スイカ」……これらは本誌・週刊ポストの取材でエピソードとして明かされた、実際に一般家庭の食卓に並んだ“創作料理”だ。メニュー名だけではその「破壊力」が伝わりにくいので、作り手たちにそのレシピを明かしてもらおう。
【イチゴジャムのトンテキ】
「肉料理にジャムを加えると『柔らかくなって肉の旨味が出る』と聞いたので、トンテキにイチゴジャムを1瓶ドバっと投入。酢豚にパイナップルのような感覚で意外とイケると思ったのですが、家族から『これからは、あまり手間をかけなくてもいいから』とやんわり諭されました」(20代女性)
【桃入りアヒージョ】
「オリーブオイルに擦りおろしニンニク、エビとブロッコリーを入れて煮込み始めたものの、何かが足りない。アクセントに桃の缶詰を投入したところ、一口食べた妻は絶句。『トマトのオイル漬け』のような料理をイメージしたつもりなのですが……」(30代男性)
【味噌スイカ】
「晩酌のあてに、モロキュウをイメージしてスイカに味噌を添えて出したんです。夫は『スイカの皮の味噌漬けは聞いたことがあるが……』と唸っていましたけど、スイカの甘みと味噌のしょっぱさのミスマッチが個性的で、私は『あり』だと思いましたね(笑)」(40代女性)
人それぞれ好みや味覚は異なるものの、これら「メシマズ」レシピの共通点は作り手の“個性”が突き抜けているということだ。雑穀料理講師の高杉多希さんが指摘する。
「料理に個性が求められるようになり、『レシピ通りに作ったら負け』という刷り込みがあるのかもしれません。さまざまな情報があふれる中で『自分らしい料理を作ろう』と頑張った結果、キラキラした完成品だけを思い浮かべて“アクセル”を踏み込んでしまうパターンが多いのではないでしょうか」