今回の総選挙は、全国各地の選挙区で激戦が繰り広げられていると伝えられ、10月31日の投開票日に向けて、与野党ともに“最後の追い込み”に入っている。同日20時に投票が締め切られて開票が始まるが、どのタイミングで趨勢がはっきりするのか、予断を許さない。そうしたなかで、岸田文雄・首相が組んでいる“日程”に、自民党内部からも疑問の声があがっている。
「この形勢で総理は本当に外遊する気なのか」
総選挙最終盤の追い込みに入った自民党選対関係者からそんな声があがっている。
岸田首相が10月31日の投開票日の夜、英国で開催される「気候変動枠組み条約締結国会議」(COP26)に出発すると発表したからだ。総選挙の開票結果がすべて出揃う前に国を留守にするのは前代未聞だ。
首相は大の外交好き、というより、“外交通”を自任している。安倍内閣で4年半にわたって外相を務めたこと以外、目立つ政治キャリアはほとんどないのだからそう思いたいのは無理もない。
そのためバイデン米大統領はじめ各国首相が出席するCOP26でなんとしても対面での首脳外交デビューを果たし、できれば“ジョー、フミオ”関係をアピールしたいということだろう。
「当初、総選挙は11月7日で準備されていたが、その日程では首脳会議が選挙期間に重なり、党内から“選挙応援もしないで外遊に出た”と批判を浴びる。投開票を1週間早めて超短期決戦にすることで、COP26に行けるようになった。総理は就任後に出演した民放番組で、対面での初会談の相手としたい海外首脳にバイデン大統領の名前を挙げるなど前のめりで、外務省サイドに『英国では短時間でもいいからバイデン大統領との会談の約束をもらうように』とハッパをかけているという」(官邸スタッフ)
だが、肝心の選挙情勢は予断を許さない。岸田首相は選挙の勝敗ラインを「与党で過半数」と低い水準に置いているが、実際には、自民党が前回総選挙で獲得した284議席から「40議席減なら政権に黄信号、50議席減になると赤信号が灯る」(自民党閣僚経験者)とみられている。