今ではUFO(未確認飛行物体)という名前が浸透しているが、その前によく使われていた「空飛ぶ円盤」という言葉が生まれたのは、1947年に米・ワシントン州上空に9機の奇妙な物体が現れたとされる「ケネス・アーノルド事件」がきっかけだという。しかし、その遥か以前から、UFOが地球に飛来していたことを示唆する伝承、古文書が日本各地に存在するという。作家でオカルト研究家の山口敏太郎氏が語る。
「そのひとつが『虚ろ舟(うつろぶね)』伝説です。日本の沿岸にたびたび漂着する謎の舟を描いたもので、円盤型UFOに酷似した造形のものもあります」
虚ろ舟伝説は各地に残されているが、もっとも有名なのは『常陸国うつろ舟奇談』だという。
「1803年、現在の茨城県神栖市波崎舎利浜に漂着したとされる事例で、舟の中には箱を携えた“異国の女性”がいたという。言葉も通じず、文字も意味不明だったことが記されています。また、『天から降りてきた』との記述がある古文書も見つかっていることから、宇宙人が宇宙船に乗り飛来した事実を伝承するものと考えられています」(山口氏)
「鍋に攫われるぞ!」
それだけではない。
「全国に伝わる『河童伝説』も宇宙人を連想させます。背中の甲羅のようなものは酸素ボンベ。ヌメヌメした皮膚はウェットスーツ、頭のお皿は通信装置と考えられる。爬虫類のような描写は“グレイタイプ”の宇宙人に酷似しています。
また、河童は『尻子玉を抜く』と言われます。UFOに攫われた人間や家畜が内臓を抉られる『キャトル・ミューティレーション』事件が大昔の日本でも起きていたのではないか」(同前)
能登半島の中腹に位置し、「UFOの町」と知られる石川県羽咋市には、古くから“そうはちぼん”というUFO型の仏具が伝わる。
地元には「鍋のふたが人を攫う」という神隠し伝説も残り、暗くなるまで遊んでいる子供を叱る際の決まり文句は、「鍋に攫われるぞ!」だったという。
「愛知県には“大入道”に遭遇した人が発熱し、3か月寝込んだという伝承もある。宇宙人に接近し、放射線被ばくしてしまったことを連想させます。日本各地の『天狗伝説』でも“空中を飛翔”する天狗が描かれている。その姿かたちからも宇宙人を想起させるものなのです」(山口氏)
使者とともに月に帰ったかぐや姫の『竹取物語』、竜宮城から村に戻ると数十年が経過していた『浦島太郎』もひょっとして……。
※週刊ポスト2021年11月5日号