ビジネス

1986年のJAL貨物機「UFO遭遇」事件 目撃した機長の後輩が語る顛末

日本航空の元パイロット・杉江弘氏の先輩は何を見たのか

UFOを目撃したと報告したのは、日本航空の元パイロット・杉江弘氏(写真)の先輩だった

 米政府は2021年6月、2004年以降に米軍などから寄せられた「UFO(未確認飛行物体)目撃情報」の調査結果を公表した。つまり、パイロットなど空の仕事をしている者たちからの目撃情報が多かったということだが、日本の航空機ではどうなのか。日本航空で長くパイロットを務めていた杉江弘氏が“遭遇事件”の当時を振り返る。

 * * *
 1986年、日航貨物機がアラスカ上空でUFOに遭遇した事件が大きく報じられましたが、実はその時の機長は私の先輩なんです。

 フライトをご一緒することもあったし、ゴルフにも何度も行きました。

 アラスカでの出来事は、「飛行船のような2つの物体が重なって自機に接近し、1時間近く付きまとわれた」というもので、その他にもかなり具体的な証言をされています。しかし、この件を会社に報告した機長は3か月ほど乗務停止となり、地上に降ろされてしまいました。メディアの取材に答えていたこともあり、会社としては「おかしなパイロット」がいると思われることを嫌ったのでしょう。

 機長は極めて常識的な方ですし、身体検査でも何の問題もなかった。会社がこうした判断を下したことに、私も彼をよく知る人たちも大きな衝撃を受けました。

 その一件以来、UFOを見たパイロットは管制に問い合わせすることはあっても、「会社や国交省に報告しない」という不文律ができてしまったのです。報告すれば乗務から外され、不利益を被りかねないから。

 私自身は宇宙人が乗るUFOが地球に来ているとは思いません。ただ、「見た」と言いにくい雰囲気がいまも航空会社にあるなら、健全ではないと思います。

【プロフィール】
杉江弘(すぎえ・ひろし)/1946年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。日本航空退社後は航空評論家として活動。

※週刊ポスト2021年11月5日号

関連記事

トピックス

旧統一教会は今後どう動くのか(時事通信フォト)
解散命令を受けた旧統一教会 「自民党への復縁工作」もありうると鈴木エイト氏指摘、教団と議員の関係を示す新情報リークの可能性 石破首相も過去に接点
週刊ポスト
藤川新監督(左、時事通信フォト)の船出とともに、名物商店街にも大きな変化が
阪神「日本一早いマジック点灯」のボードが電光掲示板になっていた! 名物商店街が今季から「勝った翌日に減らす」方式を変更 貼り替え役の店長は「ようやく解放される」と安堵
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン
公開された中国「無印良品」の広告では金城武の近影が(Weiboより)
《金城武が4年ぶりに近影公開》白Tに青シャツ姿の佇まいに「まったく老けていない…」と中華圏のメディアで反響
NEWSポストセブン
女子ゴルフ界をざわつかせる不倫問題(写真:イメージマート)
“トリプルボギー不倫”で揺れる女子ゴルフ界で新たな不倫騒動 若手女子プロがプロアマで知り合った男性と不倫、損害賠償を支払わずトラブルに 「主催者推薦」でのツアー出場を問題視する声も
週刊ポスト
林芳正・官房長官のお膝元でも「10万円疑惑」が(時事通信フォト)
林芳正・官房長官のお膝元、山口県萩市の元市議会議長が“林派実力者”自民党山口県連会長から「10万円入りの茶封筒を渡された」と証言、林事務所は「把握していない」【もうひとつの10万円問題】
週刊ポスト
本格的な活動再開の動きをみせる後藤久美子
後藤久美子、本格的な活動再開の動き プロボクサーを目指す次男とともに“日本を拠点”のプラン浮上 「国民的美少女コンテスト」復活で審査員を務める可能性も 
女性セブン
24時間テレビの司会を務めた水卜麻美アナ
《水卜アナ謝罪の『24時間テレビ』寄付金着服事件》「まだ普通に話せる状況ではない」実母が語った在宅起訴された元局長の現在
NEWSポストセブン
すき家の「クチコミ」が騒動に(時事通信、提供元はゼンショーホールディングス)
【“ネズミ味噌汁”問題】すき家が「2か月間公表しなかった理由」を正式回答 クルーは「“混入”ニュースで初めて知った」
NEWSポストセブン
スシローから広告がされていた鶴瓶
《笑福亭鶴瓶の収まらぬ静かな怒り》スシローからCM契約の延長打診も“更新拒否” 中居正広氏のBBQパーティー余波で広告削除の経緯
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・HPより 写真はいずれも当該の店舗、スタッフではありません)
《丸ごとネズミ混入》「すき家」公式声明に現役クルーが違和感を覚えた点とは 広報部は「鍋に混入した可能性は著しく低い」と回答
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 山本太郎が吠えた!「野党まで財務省のポチだ」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 山本太郎が吠えた!「野党まで財務省のポチだ」ほか
NEWSポストセブン