大西結花が1999年に発表した、東北を舞台にした伝説の写真集『遠野 冬』が22年ぶりに甦る。秘蔵写真を含む週刊ポストデジタル写真集が近日発売される大西が、撮影について語る。
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この撮影は、雪が積もった岩手県の遠野で、2~3日かけて撮影しました。「とにかく寒かった」のが一番の思い出です。
実はこのとき私は前もって綿密な打ち合わせや準備をして臨んでおらず、いきなりの撮影でした。語り継がれる昔話など、その場、そのシーンごとに説明を受けて撮影に挑みました。それでも、そのイメージに溶け込みやすい荘厳で素敵な場所がたくさんあり撮影に入り込めました。
今回改めて当時の写真を見て、和服もいいものだなと思いました。撮影者の小澤忠恭さんとの感性が合わなければこの作品はできなかったと思います。そこには小澤さんと私の間で不思議な感性の響き合いがありました。だから撮影中は安心して小澤さんに委ねられました。寒くて鳥肌も出るし大変だったのですが、綺麗な写真に仕上げてもらえて嬉しかったです。
どのシーンも寒かった思い出ばかりなのですが、共演者(?)の馬はおとなしい、いい子でしたね。もともと私は馬が好きだったのでこのシーンはとても印象深かったです。
残念だったのは、現場と旅館の往復しかしなかったので、遠野の町をあまり知ることなく撮影が終わったことです。旅館の晩ご飯の時間は旅行気分で楽しかったですが。
あの頃と今ですか? いつもあまり後先考えずその時の閃きで動くのは変わってないですね。ただそういう機会自体に巡り合うことは少なくなりました。これが大人になって落ち着いたということなのでしょうか?(笑)
【プロフィール】
大西結花(おおにし・ゆか)/1968年7月6日生まれ、大阪府出身。1984年、ドラマ『家族の晩餐』でデビュー。1986年、ドラマ『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』で主人公の姉役に抜擢され、同番組内で生まれたアイドルユニット“風間三姉妹”が一躍注目を浴びる。以降、映画やドラマ、歌手として活躍。
撮影/小澤忠恭
※週刊ポスト2021年11月5日号