中国の李克強首相の秘書室長的存在である中国国務院総理弁公室(事務所)主任である石剛氏の辞任が明らかになった。石氏は国務院研究室副主任の職も辞することが決まっており、実質的な更迭で、引退は必至とみられる。
中国共産党・政府高官の大半は来年秋の第20回党大会後の人事異動で新たなポストへの任命を受けるとみられているだけに、この時期の異動は極めて異例といえる。習近平国家主席との関係に溝があるとされる李首相の大番頭の突然の引退により、来年の党大会での李氏の引退への布石との観測も出ている。香港紙「星島日報」が報じた。
石氏は1958年生まれで、李氏と同じく安徽省の出身で、理科系の名門大学である中国科学技術大学を卒業後、中国経済の司令塔ともいえる中国国家発展改革委員会に入省し、同委総合部の総責任者として、主にマクロ経済政策研究や中国経済の状況分析、成長予測を担当し、国家経済・社会発展の年次計画の作成部門のトップを経験してきた。
その働きぶりを買われて、2013年4月に李氏が首相に就任して以来、総理弁公室室長兼国務院研究室副主任として、李氏を支えてきた。李氏の石氏への信頼は厚いとされてきただけに、今回の石氏の引退は李氏周辺でも疑問の声が上がっているという。
前任の首相だった温家宝氏や、その前の総理弁公室長はいずれも、首相在任期間の10年間、それぞれの首相に仕えてきており、石氏のケースは極めて異例だ。
この背景には党内序列ナンバー1の習氏と、序列ナンバー2の李氏の確執や権力闘争があるとみられる。