“憧れの巨人”へFA(フリーエージェント)移籍する──。そんな時代は終焉に向かっているのかもしれない。今季国内FA権を取得したDeNAの宮崎敏郎(32)は10月29日、6年契約で残留すると発表している。今季を含めて打率3割を4度記録し、2017年には首位打者も獲得した宮崎を“今年のFAの目玉”と見る向きもあったが、横浜愛を貫いた。
過去3年で楽天の則本昂大、ソフトバンクの柳田悠岐、ヤクルトの山田哲人が7年契約を結ぶなど、最近は生え抜きのスターがFA宣言をせずに長期契約を結ぶケースが目立っている。プロ野球担当記者が話す。
「落合博満や清原和博に代表されるように、以前は大物がFA権を取得すれば、巨人へ移籍するパターンが数多く見られました。しかし、近年では球界を代表するような選手のFA移籍は丸佳浩くらい。昨年オフはDeNAの梶谷隆幸と井納翔一が巨人入りしたが、梶谷はDeNAの最後の3年で100試合以上出場は1度だけでしたし、井納は過去に1度しか2桁勝利を達成したことがない。今年の梶谷はケガに泣かされたし、井納はわずか5試合しか登板できなかった」(以下同)
巨人は2019年オフのFA戦線で楽天の美馬学(現・ロッテ)、ロッテの鈴木大地(現・楽天)の獲得を目指したが、2人とも他球団に移籍した。FA移籍先として巨人の魅力が薄れてきているのだろうか。大物選手たちが巨人へのFA移籍を躊躇する理由として、3つの点が指摘されている。
「1つ目の理由として、巨人へFAで行っても競争が激しく、シーズン序盤に活躍しないとすぐに失格の烙印を押されてしまうことが挙げられます。
今年、1度の先発で見切りを付けられた井納がいい例です。巨人に移籍して活躍できなければ、自らの選手生命は短くなる。選手によっては、トータルで考えれば、残留した方が金銭的にもプラスになるし、引退後にコーチや監督の座に就ける可能性も高くなる。梶谷や井納のように、FAのBランク、Cランクの選手なら移籍を考えるかもしれませんが、チーム内の年俸が1~3位のAランクの大物が巨人や他の国内球団に移籍するメリットは少ないのでしょう」