「薬を飲まずに暮らす」──。誰しも願うことだが、体調や基礎疾患によっては何も飲まないわけにもいかない。では何を飲めばいいか。これまで「薬は減らせる」と語ってきた名医たちが、いま服用している薬、今後“飲みたい”と語る薬を実名で紹介する。
糖尿病薬は「肥満改善」「低血糖防止」が肝心
高血圧や糖尿病の専門医・泰江慎太郎医師(銀座泰江内科クリニック院長)が糖尿病になった際に飲みたい薬は、フォシーガ(SGLT2阻害薬)、リベルサス(GLP─1受容体作動薬)だという。
「フォシーガは糖尿病のほかに慢性心不全、慢性腎臓病にも使用が認められています。1日あたり約70gの糖質を尿として排泄し血糖を下げる仕組みで、肥満改善効果も期待できます。リベルサスは比較的新しい治療薬ですが、低血糖を起こしにくいメリットがあります」
その他、降圧剤では「海外の臨床試験で糖尿病性腎症の進行を抑える結果が出た」というミカルディス(ARB)を、抗凝固薬では「1日1回の服用で済み、食事制限がなく脳出血のリスクが低い」というイグザレルト(FXa阻害薬)を飲みたいという泰江医師。薬選びで最も重視するのは「安全性」だ。
「治験で確認されても、実際に多くの人が使ってみなければ本当の安全性はわかりません。私はすぐに新薬を試すことはせず、販売開始後1年くらい経って安全性を見極めてから処方します」