9月に58歳を迎えたダウンタウンの松本人志は、現在も民放各局で何本ものレギュラー番組を抱え、『M-1グランプリ』(ABCテレビ)、『キングオブコント』(TBSテレビ)という若手芸人の登竜門となる賞レースで審査員を務めるなど、今のテレビ界においてその存在感はきわめて大きい。
松本は1980年代後半から現在まで30年以上も一線で活躍している。テレビ局関係者が話す。
「ここ1~2年でテレビ業界は大きく変化しました。番組の評価基準が、世帯視聴率から主に49歳以下の数字である“コア視聴率”を重視するようになったのです。つまり、男女50歳以上(M3、F3)の見る番組を作っても、あまり評価されない。人口が多く、テレビとともに育ってきたM3、F3層を取れば世帯視聴率は上がるので、数年前まではその世代寄りの番組が乱発されていました。
しかし、それによって若者のテレビ離れがさらに進んだ。現在はスポンサーが若い世代へのリーチに回帰したこともあって、各局はいわゆる“コア視聴率”を指標にし始めました。大きなパラダイムシフトが起こったため、以前よく見た高齢のタレントがあまり呼ばれなくなっている。その代わり、10代や20代のネットの人気者の出演機会が増えた。60歳前後以上のタレントには厳しくなっています。その中で、58歳の松本さんの番組の“コア視聴率”は目を見張るものがあるんです」(以下同)
“コア視聴率”の呼び方や年齢層は局によって異なる。TBSは4歳~49歳を“新ファミリーコア”としている。日本テレビは“コアターゲット”、フジテレビは“キー特性”と名称こそ違うものの、13歳~49歳を対象にしている。いずれにしても、49歳以下の数字を取れるタレントはテレビ局に重宝される。その中で、58歳の松本人志の番組はその層に受けているという。
「『人志松本の酒のツマミになる話』は男女35歳~49歳(M2、F2)の視聴率で、その日のフジテレビの全番組の中でよく1位になっています。40歳前後はダウンタウンに影響を受けた人たちが多いので、松本さんの番組が強いのはわかります。ただ、男女20歳~34歳(M1、F1)でも同日1位になることがある。同じフジの『ワイドナショー』も裏番組のTBS『サンデージャポン』と比べて世帯では負けても、コアだと勝っています。フジテレビだけでなく、『水曜日のダウンタウン』もTBSの1日のなかでM1、F1、M2、F2で1位に頻繁になっています」