「薬を飲まずに暮らす」──。誰しも願うことだが、体調や基礎疾患によっては何も飲まないわけにもいかない。では何を飲めばいいか。これまで「薬は減らせる」と語ってきた名医たちが、いま服用している薬、今後“飲みたい”と語る薬を実名で紹介する。
頭痛薬は処方する前に「脳卒中」を検査する
総合内科専門医で頭痛指導医である秋葉原駅クリニック院長の大和田潔医師が、経験をもとに自ら飲みたいと考えている頭痛薬はなにか。
「わざわざ頭痛外来を訪ねる患者さんの多くは、市販の痛み止めでは治らないためいらっしゃいます。
『とにかく痛み止めを』と望まれますが、まずは薬の前に脳卒中でないかを確かめます。画像診断で異常がなければイミグランを片頭痛の第一選択肢にしていますね。内服や点鼻が使え、片頭痛の急性期症状を和らげるのに効果的です」
また大和田医師は、日常的な症状を抑える薬として2つの市販薬の名前を挙げた。
「吸収のいいピロリン酸第二鉄を含み貧血を改善するファイチは、別の鉄化合物の処方鉄剤に比べて吐き気や胃の不快症状がなく、月経のある女性、妊婦や高齢者でも服用しやすい。
第一三共胃腸薬錠剤Sはロートエキスフリーなので緑内障でもよく、ナトリウムもないので塩分を気にする高齢者にも使いやすい。生薬と消化酵素が含まれますが、これも市販薬ならではの配合です。処方薬の胃酸を抑える薬のほうは、胃の殺菌作用を下げるので有利な面もあります」