「薬を飲まずに暮らす」──。誰しも願うことだが、体調や基礎疾患によっては何も飲まないわけにもいかない。では何を飲めばいいか。これまで「薬は減らせる」と語ってきた名医たちが、いま服用している薬、今後“飲みたい”と語る薬を実名で紹介する。
処方薬の精査も大事だが、すぐ飲める市販薬も重要
新潟大学名誉教授の岡田正彦医師は、「生活習慣病のように毎日飲む薬と、突然の発熱や痛みが出た際に飲む薬ではカテゴリーが違う」と語る。
「体調が悪くなった時、病院にかかって処方箋を受け取って薬を処方してもらう──それが原則ですが、市販薬も上手に使いたいものです。
私も風邪や胃腸の調子が悪ければ、市販薬を飲みます。解熱鎮痛剤アセトアミノフェンが主成分のタイレノールは、自宅の薬箱に常備している数少ない薬の一つ。処方薬のカロナールと同成分で大きな違いはありません。
同じく胃もたれや胃痛に備えて総合胃腸薬のヂアスターゼ、リパーゼ配合薬も常備しています。これに含まれる消化酵素のヂアスターゼやリパーゼは体内で分泌される酵素と同じ働きなので安心して使用できます」
常用する薬はない岡田医師だが、今後、飲むとしたら何を選ぶか。
「例えば降圧剤で使うとすれば、使用実績が豊富で有効性と安全性の評価が定まっているサイアザイド系利尿薬のヒドロクロロチアジドです。
同じ理由で、糖尿病治療薬ならスルホニル尿素(SU)薬のグリメピリド、心不全による諸症状の治療では利尿薬のフロセミドを選びます。鎮痛薬などによる胃への負担軽減のために飲む胃腸薬は複合健胃散のS・M配合散が選択肢です」(同前)