「優勝なんか一切目指しません」。11月4日、日本ハム監督の新庄剛志氏が就任会見を行い、相変わらずのエンターテイナーぶりを見せつけた。冒頭で「これからは顔を変えずにチームを変えていきたいと思います」と冗談交じりに宣言し、「試合中にインスタライブができれば最高」「監督と呼ばないで。ビッグボスでお願いします」など従来の監督像を打ち破る発言を連発した。
中でも、「優勝なんか一切目指しません」という一言に驚いた人は多かったかもしれない。その直後、「優勝という高い目標を持ちすぎると選手はうまくいかないと僕は思っているんですよ」と発言の意図を説明し、「1日、1日、地味な練習を積み重ねてシーズンを迎えて、何気ない試合、何気ない1日を過ごして勝ちました。勝った、勝った、勝った、勝った……それで9月辺りに優勝争いをしていたら、さあ優勝を目指そう。そこで気合の入り方が違うと思う。そういうチームにしたい」と抱負を語った。プロ野球担当記者が話す。
「新庄監督は引退してから去年まで日本の野球を見ていなかったと言っていましたが、非常に理にかなった発言だと感じました。というのも、最近のパ・リーグは開幕ダッシュをして、そのまま逃げ切るチームはほとんどないからです」(以下同)
今年25年ぶりに優勝したオリックスは3・4月、5月と2か月連続で負け越し。例年通りのBクラスかと思われたが、交流戦で波に乗って6月は月間首位に。ロッテとのマッチレースとなった10月も月間首位と勝ち星を積み重ね、ペナントを制した。
それは何も今年に限った話ではない。コロナ禍で開幕がズレ込んだ昨年、ソフトバンクは6月3勝6敗1分とスタートは良くなかった。しかし、7月に18勝9敗と巻き返し、9月は負け越して停滞するも、10月に22勝4敗と驚異的な数字を残し、3年ぶりの優勝を決めている。日本シリーズでは前年に引き続き、巨人を4タテで下した。
「昨年まで4年連続日本一のソフトバンクはいずれもシーズンの終盤にピークを持っていき、プレーオフを勝ち上がっていきました。逆に、巨人は2年連続で終盤に調子を落とし、日本シリーズで惨敗している。クライマックスシリーズができてから、特に終盤の追い上げが重要になっています」