新庄剛志監督・稲葉篤紀GMタッグが誕生した日本ハム。しかし、禍根を残すのが8月に発生した中田翔暴力問題の事後処理だ。いまだ球団として公に説明する場を設けていないことを巡り、フロントのトップと記者たちの間で衝突が起きていた。
11月2日、栗山英樹監督が退任会見を行なったが、10年にわたる栗山政権でGMとして編成を担った吉村浩氏は統括本部長として、フロントの中枢に残ることになった。新庄新監督も「吉村前GMの力も、ものすごく大事になってくる」と語り、その手腕に期待を込めている。
だが、吉村氏の残留が発表されると、ネット上には〈勝てない責任は監督やコーチで、フロントは知らんぷりというのは違うのではないか〉と、3年連続Bクラスの編成上の責任を問う声が挙がった。さらに、ファンが強い不信感を抱くのは8月に発生した中田翔の暴力問題に関する事後対応だ。同僚選手に暴力を振るった問題で日本ハムから無期限出場停止処分を受けながら、巨人へのトレードで“無罪放免”となった経緯は球界内外を揺るがす大事件だったが、中田は移籍先の巨人で会見を開いたものの、日本ハムはHPで川村浩二球団社長名義の謝罪文を公開し、川村氏が稲葉GM就任会見で一言触れたのみ。栗山監督は取材に対応してきたが、トレードの責任者である吉村氏はこれまで公の場で説明していない。〈いまからでも会見を開くべきでは〉という声は根強い。
この中田の暴力問題を巡って、吉村氏と記者陣がぶつかったのは10月10日の都内ホテルでのことだった。現場にいた記者が語る。
「この日は翌日のドラフト会議に向けた最後の編成会議が開かれていました。会議後、吉村氏と球団広報が囲み会見を開き、ドラフトの方針を説明する予定でした」
吉村氏はドラ1指名について「最もポテンシャルが高い選手」と語り、選手名については明言を避けた。会見が切り上げられようとした矢先、ある新聞社の記者が口にした質問に吉村氏が顔をしかめたという。前出・記者が続ける。