『週刊ポスト』の「MEGA地震予測」でおなじみの東京大学名誉教授・村井俊治氏(82)の地震予測のキモとなるのは、国土地理院が全国約1300か所に設置する電子基準点のGPSデータである。
電子基準点は、高さ5mほどの塔のようなもので、頂部には受信機が設置されている。人工衛星でその位置の変化を常時測定でき、地球の表面の微妙な動きも測定できる。
村井氏は2013年に地震科学探査機構(JESEA)を立ち上げ、「週刊MEGA地震予測」というメールマガジンの配信を始めた。『週刊ポスト』を皮切りに多くのメディアに登場し、2014年3月に出演したテレビ番組で5日後の伊予灘地震を予測して大きな話題となった。
その後も「村井理論」は進化を続けた。電子基準点の1週間ごとの上下動の「異常変動」、長期的な上下動の「隆起・沈降」、東西南北の「水平方向の動き」という3つの指標を総合的に分析する方法に加え、昨年以降はAI(人工知能)による危険度判定を導入している。
今年7月からは衛星画像を解析し、1か月以内に、どのエリアで、どのくらいの規模の地震が起きるのかを予測する「ピンポイント予測」も実用化した。
その進化した理論によって、年末までに警戒すべき地域として村井氏がはじき出したのが、5つのゾーンだ。
東北警戒ゾーン
10月6日に岩手県沖地震(震度5強)が発生した東北は要注意だ。
「最新のAIによる危険度判定で東北は全国1位です。中でも福島県と茨城県の境目で『水平方向の動き』に変化が見られ、そこに歪みが溜まっていると考えられます。岩手県沖地震の“火種”がまだ残っており、今後も東北では大きな地震が起こる可能性があります」(村井氏・以下同)
北海道・青森警戒ゾーン
「10月19日には、青森県東方沖を震源とするM5.4の地震が起き、その後もM4クラスの地震が複数回起きています。『水平方向の動き』では青森県東方沖を中心に反時計回りの大きな動きが見られるため、警戒を怠らないでください」
北信越警戒ゾーン
このエリアは隆起と沈降が混在している。
「新潟県の基準点『新井』と『新潟巻』の高低差は6cmを超えています。高低差が6cmを超えると周辺に歪みが溜まり、地震が発生する可能性があります」