コロナの感染者数が激減し、社員の出社率を徐々に戻す企業も増えてきた。年末には状況を見ながら「忘年会」を解禁しようと計画する組織もあるが、「コロナ禍を機に、職場の上司・部下の関係や年中行事のあり方を見直すべき」と指摘するのは、同志社大学政策学部教授の太田肇氏だ。
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新型コロナウィルスの感染者が急激に減少し、緊急事態宣言がようやく解除された。
巷では、さっそく忘年会や新年会の計画を立てる動きが見られる。山形県鶴岡市のように、飲食店への支援や消費喚起という名目で職員に忘年会・新年会の開催を積極的に呼びかける自治体まで現れてきた。
参加を強いる同調圧力にうんざり
暗い自粛ムードが少しずつ薄れ、ようやく明るい兆しが差してきたことは喜ばしい。
ところが年中行事の復活に前のめりの経営者や管理職とは対照的に、若者の間からは、「自粛の圧力が去ったかと思えば、こんどは参加の圧力か」とため息交じりの声が聞かれる。
マスコミなどは、最近の若者が職場関係のつきあいや宴会文化を嫌うようになったと強調する。しかし意識調査の結果をみると、意外にも会社の忘年会や新年会を楽しみにしている若者が多い。忘年会や新年会そのものを嫌っているわけではないのだ。
彼らが嫌うのは参加が強制され、そこへ上司・部下というタテの関係が持ち込まれることである。
拙著『同調圧力の正体』(PHP新書)で指摘したように、日本の会社ではたとえ形式上は自由参加でも、参加しなければ人事評価に響いたり、大事な情報がもらえなかったりといった「ペナルティ」が隠れている場合が多い。それが実質的な強制につながるのだ。
そのような宴会を若者が嫌うのは、今に始まった話ではない。昔から若者の多くは、内心では気が進まなくても渋々出席していた。私自身も職場の忘年会を途中で抜け出し、同期生の忘年会に出て憂さ晴らしをした記憶がある。