「18歳以下の子供に一律現金10万円給付」をめぐり、自民・公明両党は協議を本格化させている。11月8日午後には自民党の茂木敏充・幹事長、公明党の石井啓一・幹事長が会談。金額や給付対象などについて協議し、11月9日も再協議を行なうとされる。11月19日までに経済対策の内容を決める構えだ。ただ、「年齢で区切った給付策」に対しては、疑問の声もあがっている。政府・与党がどのような結論を出すのか、幅広い世代から注目度は高い。
自民党内からは「所得制限を設けるべき」との慎重論も聞こえてくるものの、18歳以下への一律10万円給付は先の衆院選で公明党が掲げた目玉政策だけに、簡単に落としどころが探れるのかは不透明だ。「やり方を誤れば、国民の間で不公平感が広がり、先の衆院選で勝利した勢いが削がれることになりかねない」(自民党関係者)とみられている。
この政策が波紋を広げる最大の理由は、新型コロナウイルスによって経済的な困難に直面する家計を支援することが目的とされながら、「年齢」で給付が受けられるかどうかが決まってしまうからだ。自民党関係者が続ける。
「当然ながら、裕福な子育て世帯もいれば、子供のいない貧しい世帯もある。少子化対策として議論を進めるならまだしも、新型コロナを受けて岸田政権が打ち出す大規模経済対策のメニューとしては、違和感が拭えないのではないか」
所得の多寡や生活の困窮度合いではなく、年齢によって給付を受けられるかが区切られることについて、50代の会社員男性はこう首を傾げる。
「今年、19歳になったうちの息子は私立大学1年生です。これから卒業するまでに数百万円単位の学費がかかります。コロナで私の残業やボーナスは大きく減ったし、息子にアルバイトして家にお金を入れろと言いたくても、感染も心配だったし、最近まで飲食店の募集などはほとんどなかった。たった1歳年齢が違うだけで、給付を受けられないと言われたら、“なぜ?”という気持ちになってしまう」
大学生のおよそ2人に1人が奨学金制度を利用し、有利子の奨学金の平均貸与総額は300万円超というデータもあるなど、「大学生の貧困」は社会問題となっている。社会人になってからも、長期間にわたって給与から奨学金を返済していく必要に迫られるケースは少なくない。