主演を務めたNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』が無事に放送終了した清原果耶(19才)。若手女性俳優の登竜門である朝ドラとあって“清純派”のイメージを持つ視聴者も多いが、公開中の映画『護られなかった者たちへ』では、「清原果耶の演技がエグ過ぎた」「『おかえりモネ』と同じ女優と思えない」といった声が多く聞かれ、従来のイメージを大きく覆し話題を呼んでいる。清原の演技のギャップについて、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。
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朝ドラ第104作目である『おかえりモネ』は、宮城県気仙沼で被災した主人公・モネ(清原)が気象予報士を目指して上京し、気象予報の力で地域に貢献しようと奮闘する姿を描いた物語だ。清原が朝ドラに出演するのは、俳優デビュー作でもある『あさが来た』、ヒロインの生き別れの妹という重要な役どころを演じた『なつぞら』に続いて3度目。坂口健太郎(30才)や蒔田彩珠(19才)、鈴木京香(53才)、内野聖陽(53才)、藤竜也(80才)といった若手から大ベテランまでの手練れの演者陣に支えられ、見事に主演を務め上げていた。自分のことより他者を想うモネの生き様に、多くの視聴者が“清純”のイメージを抱いたのではないだろうか。
一方、清原は現在公開中の映画『護られなかった者たちへ』にも出演中。同作は、作家・中山七里(59才)による同名ミステリー小説を、映画『糸』などの瀬々敬久監督(61才)が佐藤健(32才)を主演に迎えて映画化したもの。東日本大震災から10年目の仙台を舞台に、被害者が全身を縛られたまま“餓死させられる”という不可解な殺人事件が発生したことをきっかけに、貧困や格差、福祉の現状など現代の日本社会が抱える問題を描いている。主演の佐藤を筆頭に、阿部寛(57才)、林遣都(30才)、永山瑛太(38才)、緒形直人(54才)、吉岡秀隆(51才)、倍賞美津子(74才)ら優れた俳優陣が揃った作品だ。清原が演じているのは、事件のカギとなる保健福祉センターで働く円山幹子役である。
この2作に共通するのは、舞台が東日本大震災の被災地であり、それが物語のテーマに大きく関わっているということ。そうなれば、自然とシリアスなシーンも増えてくるというものだ。しかし、『おかえりモネ』で作品のシリアスさを担うのは清原ではない他の俳優たちであり、どちらかと言えば彼女は、暗くなりがちな物語や周囲の登場人物を明るく照らしている印象があった。決して大げさではないものの、モネの感情表現は比較的分かりやすい。視聴者に行間を読ませるのではなく、明確に言葉で伝えようとする朝ドラならではとも言えるものだった。