力み過ぎた中田翔がワンバンドのボール球を空振りし、ゲームセット。シーズン終盤の失速を象徴するようなシーンで、2021年の巨人は終幕を迎えた。セ・リーグのクライマックスシリーズ(以下、CS)のファイナルステージはヤクルトが王手をかけた第3戦で2対2の引き分けに持ち込み、日本シリーズ進出を決めた。
ヤクルトは1点リードされた7回裏に青木宣親のレフト前2点タイムリーで逆転。8回に同点に追い付かれるも、9回は抑えのマクガフが簡単に2アウトを取り、最後は代打・中田を三振で締めた。巨人はCSファーストステージで阪神に連勝し、勢いに乗るかと思われたが、本塁打、打点の2冠に輝いた4番・岡本和真を欠く打線はヤクルト相手に3試合で2点しか取れなかった。
原辰徳監督の采配にも疑問の声が上がっている。ファイナル2戦目の6回裏2死二、三塁の場面で8番の西浦直亨を歩かせて代打・川端慎吾と勝負させた。中4日で先発した菅野智之はこの回、すでに100球を超えていた。原監督は0点に抑えられていた高橋奎二を交代させるため、敢えて満塁にした旨を語っているが、結果的には川端が押し出しの四球、1番・塩見泰隆が走者一掃のタイムリー三塁打を放ち、5対0と勝負は決した。プロ野球担当記者が話す。
「菅野をはじめチーム全体が、原監督の采配を全面的に信頼していたとは言い難いでしょう。特に、ボール1つの出し入れで勝負する投手にとって、微妙な心理状態の変化は結果に直結します。原監督がマウンドを去った後、菅野と坂本(勇人)がなぜか笑みを浮かべているように見えましたが、どんな心境だったのか。ただ、この作戦も、監督と選手の間に信頼関係のあった3か月前だったら成功したかもしれません。シーズン終盤、両者の信頼関係が急速に揺らいでいったようにも見えましたね」(以下同)
阪神、巨人、ヤクルトの三つ巴となった今年のセ・リーグ。監督、選手の経験値の高さから巨人が抜け出すと予想する評論家も少なくなかった。しかし、巨人は9月、10月と失速して10連敗も喫した。