《だから私は、完全に“オルペン”になっちゃったんですね》、《“黄金マンネ”と呼ばれているウリ・ジョングク》、《ですから“クオズ”のおふたり、わかりますよ》、《アーミーってすごくない!?って常々感謝しております》
いまや世界の人々は2種類に分けられる。この暗号のような会話に首を傾げる人と、深くうなずく人だ。
冒頭の会話を交わすのは小泉今日子(55才)とYOU(57才)。音楽ストリーミングサービス「Spotify」で8月から配信されている『小泉今日子とYOUのK-POP PARTY』というラジオ番組の1コマだ。
2人が真剣に語り合っているのは、韓国出身の男性グループ「BTS」について。「オルペン」とは、「オール(全員の)ペン(ファン)」の略で、“メンバー全員が好き”という意味。「黄金マンネ」は“最強のマンネ(末っ子)”、「ウリ・ジョングク」の“ウリ”は、韓国語で「私たちの」という意味で、「(BTSメンバーの)ジョングクは、私たちの家族」という意味合いだ。
「クオズ」は「95(クオ)年」生まれのメンバー、JIMINとVのコンビを指す。そして「アーミー(ARMY)」とは、BTSのファンたちのことを示している。
ためらいなくファン用語を使いこなす2人だが、デビュー当時からの古参ファンというわけではない。
韓流ブームにまるで無関心だったYOUは、3年ほど前に友人と娘の影響でBTSのファンになった。そして昨年、大ヒット曲『Dynamite』のパフォーマンスをYouTubeで見た小泉が“沼に落ちた”という。
《“ファン”になること自体が私の人生の中で初めての経験》
トップアイドルとして時代を築いてきた小泉だが、まさかこの年齢で、自分がアイドルのファンになるとは思っていなかったようだ。
いま、彼女たちのように、いきなり熱狂的なBTSファンになる人たちが急増している。半年前にアーミーになった会社員の浅岡茉莉子さん(仮名、37才)が笑顔で語る。
「BTSというグループが存在することは知っていましたが、『よくいるK-POPグループの1つ』程度にしか思っていませんでした。