日本大学の元理事らが大学に計約4億2000万円の損害を与えた背任容疑で逮捕された問題。捜査は今も続けられ、その過程で田中英寿・日大理事長に不正な現金が渡った疑惑まで浮上しているが、組織を揺るがすスキャンダルの発覚で懸念されるのが、来年度入試への影響だ。
学生数7万人を超える“マンモス私大”として知られる日大は、16学部87学科を持つ全国有数の大規模総合大学で、入試の志願者数もケタ違い。毎年10万人を優に超える受験生を集めてきた。
アメフト騒動よりも根深い「闇」
だが、そんな日大人気に陰りが見えたこともある。記憶に新しいのが、2018年に起きたアメフト部による「悪質タックル問題」だ。
大学ジャーナリストの石渡嶺司氏がいう。
「体育会系クラブの度を超えたタテ社会やパワハラ体質が明るみになったことで、日大のイメージはガタ落ちしました。メディアが長期間にわたって過熱報道を繰り返したことも影響して、翌年(2019年)の入試では志願者数が約1万5000人減り、同じ首都圏中堅クラスの『日東駒専(日大、東洋、駒沢、専修)』の中で独り負けとなりました」
それからわずか3年で発覚した今回のスキャンダル。受験生や保護者にしてみたら、身近な学生が関与したアメフト騒動に比べれば、個別の理事が手を染めた背任事件に過ぎないのかもしれないが、実はもっと根が深い。石渡氏が続ける。
「事件のカラクリのひとつとして、学生の教育用品や保険などを扱っている事業会社の『日本大学事業部』が関わっていることは相当にイメージが悪い。しかも、その会社を経由させることで、教材などの値段がつり上がっていたのでは? との疑惑まで飛び出し、そうなると『悪い理事がいたんだね』という話では済まなくなります」