国内

標的となった甘利氏は落選 弁護士が解説する「違法にならない落選運動」

落選運動で街頭演説をする弁護士の郷原信郎氏(2021年10月30日)

落選運動で街頭演説をする弁護士の郷原信郎氏(2021年10月30日)

 総選挙で立憲民主党の江田憲司・代表代行と自民党の甘利明・前幹事長への落選運動を実践した元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が、違法にならない落選運動のやり方を指南する。

 * * *
「落選運動」は選挙の公示日前であれば通常の政治活動という位置づけで、「特定候補者を当選させてはならない」という運動を展開できます。もちろん嘘や誹謗中傷をしてはいけませんが、事実に基づいた批判、指摘は自由にできます。

 ただ、選挙期間中になると、「落選運動」にも公選法の制限が掛かります。選挙期間中に政治活動ができるのは、政党と確認団体に限られます。だから落選運動も、個人での活動なら可能ですが、「組織」「団体」ではできないこととなっています。「虚偽事項の公表罪」(235条)もあり、嘘や事実の歪曲で相手を批判してはならない。

 選挙運動では、ポスターやビラは規制されたものしか掲示、配布できませんが、落選運動の場合はその制限はありません。ウェブサイトやメールには、落選運動者の名前やメールアドレスの表示義務が定められていますが、その時期や方法についての制限は規定されていません。

 今回、私の落選運動ではまず私自身のブログやツイッターで政策や政治家としての姿勢などから問題視している江田氏、甘利氏をなぜ落選させねばならないかを訴えました。私が運営するユーチューブ『日本の権力を斬る!』でも『〇〇氏落選運動スペシャル』という番組枠を立てました。

 さらに選挙期間中には夕刊紙風の目立つデザインのチラシを作製し、当選させてはならないことを訴えました。チラシにも『発行人 郷原信郎』と明記し、メールアドレスと事務所のHPアドレス、ブログのアドレスを掲載します。私自身で便利屋に発注し、ポスティングもしました。

 投票日前日には、郷原個人によるものとして、街頭演説も行ないました。駅前で『〇〇氏を当選させてはならない』というノボリを立て、台の上に立ち、『〇〇氏 落選運動』と書いたタスキを掛けて、足元にはビラを置きました。演説の際に心掛けたのは、対抗馬の名前を出すと、その候補を応援する形になり「選挙運動」と解釈されかねないので、対抗馬の名前は出さないようにしたことです。

 結果は、甘利氏は自民党幹事長としては初となる小選挙区落選で、比例復活したものの幹事長辞任となりました。圧勝が予測されていた江田氏は、自民党の対立候補との票差が前回の4万5000票から今回は約1万3000票という僅差になり、実質的には大幅な得票減。

 落選運動の効果は相当あったと言えるでしょう。

※週刊ポスト2021年11月19・26日号

関連記事

トピックス

母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
日米通算200勝を前に渋みが続く田中
15歳の田中将大を“投手に抜擢”した恩師が語る「指先の感覚が良かった」の原点 大願の200勝に向けて「スタイルチェンジが必要」のエールを贈る
週刊ポスト
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
裏アカ騒動、その代償は大きかった
《まじで早く辞めてくんねえかな》モー娘。北川莉央“裏アカ流出騒動” 同じ騒ぎ起こした先輩アイドルと同じ「ソロの道」歩むか
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン