世界の音楽チャートを席巻し、国連で3年連続スピーチをするなど、アジア発のグループとしては、いまだかつてないほどの大ブレークをはたしたBTS。そんな彼らがデビューしたのは2013年6月のことだ。
韓国の大手芸能事務所「JYPエンターテインメント」から独立した音楽プロデューサーのパン・シヒョクが、2005年に立ち上げたばかりの事務所「Big Hitエンターテインメント」からデビューした。韓国の音楽や文化に詳しいライターのDJ泡沫さんが語る。
「Big Hitには、2PMの兄弟グループとしてデビューした2AMが所属しており、韓国チャートで1位を取るほどの人気でした。なので、BTSがデビューする以前から、中堅事務所としてそこそこの知名度がありました。ジョングクとJ-HOPEは練習生として2AMのメンバーのバックで踊ったりもしていましたよ」
もともと、Big Hit初の本格ヒップホップグループを作る構想があり、すでに事務所に所属していたラッパーのRMを中心に、韓国内で大規模なオーディションが行われていた。SUGAはこのオーディションの合格者、J-HOPEはオーディション会場で熱心にダンスする姿が関係者の目に留まり、スカウトされた。
「ですが、途中からダンスのできるアイドルグループにコンセプトが変わっていきました。まだ中学生だったジョングクは複数の事務所からスカウトを受けていたのですが、RMのラップを見て、Big Hitに入りたいと思ったそうです」(DJ泡沫さん・以下同)
JINは最初、東方神起が所属するSMエンターテインメントに路上スカウトされたが、それを断った後、2回目にスカウトされたBig Hitに所属。
「2回も芸能事務所からスカウトを受け、『自分ってイケてるんだ』と思ったそうです。彼はメンバーで唯一、インターネット上のオンライン大学ではなく、建国大学という優秀な大学に通い、大学院も修了しています」
その後、VとJIMINもオーディションに合格。グループの「ビジュアル担当」と呼ばれるVはデビューまで顔が明かされず、事務所の最終兵器だったのだろうと噂される。
高校の現代舞踊でトップの成績だったJIMINは、学校の教師にすすめられBig Hitのオーディションを受けた。
こうして7人がそろった。「BTS」というグループ名は海外活動向けにつけられた英語名であり、韓国での正式なグループ名は「防弾少年団(バンタンソニョンダン)」。ファンの間では現在も「バンタン」の愛称で呼ばれている。
「同時期にデビューした新人が少なかったこともあって、デビュー直後から熱心なファンがついていました。ただ、この時期は本国の韓国よりも、一時期の韓流ブームを経てK-POPが定着しつつあった日本での注目度の方が高かった印象です」