終盤の大失速でセ・リーグ3連覇を逃し、クライマックスシリーズ(以下CS)のファーストステージでは2位の阪神に連勝したものの、ファイナルステージでヤクルトに1勝もできずに敗れ去った巨人。3度目の就任となった2019年から2連覇を果たし、通算1000勝を超えて“名将”の呼び声も高かった原辰徳監督が逆風に晒されている。
8月に日本ハムでチームメイトに暴力行為を働いて無期限謹慎処分になっていた中田翔を獲得し、すぐに一軍で起用した辺りから風向きが変わり始めた。ヤクルトとのCS第2戦では、8番の西浦直亨への敬遠を指示して代打の切り札・川端慎吾と勝負させ、傷口を広げた采配にも批判が集まった。プロ野球担当記者が話す。
「終盤からCSにかけて、巨人には原監督にモノを言えるコーチがいないのかなという空気を感じました。中4、5日のローテーションがうまく機能しなくても続け、中田が打てなくても使い続けた。CSでの采配もベンチで疑問に思ったコーチもいたはずです。それでも、全て作戦が実行され、成功しなかった」(以下同)
来季の首脳陣が発表されたが、阿部慎之助作戦兼ディフェンスチーフコーチ、亀井善行外野守備兼走塁コーチなど40代以下が目立っており、ほとんどのコーチが原監督の元で選手時代を過ごしている。一軍コーチ陣で原監督の現役時代を知るのは元木大介ヘッド兼オフェンスチーフコーチ、桑田真澄投手チーフコーチ、村田善則ブルペンコーチの3人だけとなった。
「一軍で原監督と最も近い年齢の首脳陣は10歳下の桑田真澄コーチ。年上は1人もいません。どの球団も監督が暴走しかけた時に、コーチがどう止められるかは重要です。桑田コーチにその役割を期待したいところですが……。
コーチの若返りは、ポスト原政権を考えた布陣だとも言えます。ただ、巨人は今年そうだったように優勝しないと叩かれるのが宿命。1年1年が勝負。コーチにも経験は必要ですが、1人、2人ベテランの指導者がいても良かったように思います」