元ソフトバンク投手の近田怜王氏(31)が、11月18日付で京都大学硬式野球部の監督に就任した。前任・青木孝守監督から引き継ぎ、同大野球部としては初の元プロ野球選手の監督となる。
近田氏は2008年夏、報徳学園のエースとしてチームをベスト8に導く活躍で脚光を浴びた。その年のドラフト3位でソフトバンクに入団。プロでは目立った成績を残せず2012年に戦力外通告を受けたが、その後JR西日本で勤務しながら、2017年1月から京大野球部で指導を開始。昨年9月の助監督就任を経て、今回の監督就任となった。
近田氏に聞くと、こう語った。
「プロ4年目頃から、将来的にはアマチュア野球の指導者になりたいと考えていました。その年の夏に投手から野手に転向したのは、指導者になることも考えて、自分から球団に頼んだのです。プロの野手のレベルを少しでも吸収しておきたかった」
2017年に近田氏が京大野球部の指導を開始して以降、同野球部はメキメキ力をつけ始める。京大はプロ候補選手がひしめく関西学生野球リーグで最下位が「定位置」だったが、2019年秋シーズンには連盟発足以降初の4位に。今年の秋シーズンには「京大最速」となる152キロを計測し、一躍来季のドラフト候補となった3年生の水口創太(22歳)も注目を浴びた。
同連盟に所属し、現楽天イーグルス・辰己涼介など多くのプロ野球選手を輩出している立命館大学の後藤昇監督は、「京大のレベルは明らかに上がっている」と語る。
「近田君が京大に来てから、京大投手陣の平均球速が10キロは上がってるんです。ベンチに控える選手が、みんな平気で140キロ前後の速球を投げる。今まで京大と対戦するときは、浮いてきた球を狙えば打ち返せていたのですが、最近は選手が胸の高さのボールを空振りするんです。しっかりとした対策が必要なチームになってきた」