10月7日に発声した地震で電車がストップし、タクシー乗り場に列をなした帰宅困難者(時事通信フォト)

10月7日に発声した地震で電車がストップし、タクシー乗り場に列をなした帰宅困難者(時事通信フォト)

冷蔵庫やテレビが窓を突き破る

 スーパー南海地震が発生すれば、街は一変する。

 立っていられないほどの大きな揺れが続き、高層ビルはまるで風になびく木のように左右に揺れ続ける。高層階の揺れ幅は5mにも及び、冷蔵庫やテレビなどの重い家具はガラス窓を突き破って、空を舞う。

 そうこうしているうちに、高橋さんが50万人の死者が出る最大の原因と予測する巨大津波が押し寄せる。

 銀座や東京駅などのエリアは地下街や地下鉄が多く、水が流れ込めば、水圧でドアが開かなくなり、地上に逃げ出すことも困難になる。たとえ10cmの津波でも、水が階段を流れ落ちてくる力に抵抗して階段を駆け上がることは容易ではない。30cmを超えると、若い男性でも抵抗できないといわれている。

 津波は、新幹線や高速道路といった交通網を遮断する。

「いま危険度が高まっている浜名湖の中には、弁天島という小さな人工島があり、そこを東海道新幹線や在来線、東名高速が走っています。同じく、富士市の浮島ヶ原という地域にも新幹線と東名が通っていますが、これらは津波がきたら被害を受ける場所とされています。そうなると新幹線も高速道路もストップしてしまい、復旧するまで何か月もかかるでしょう。

 古くからある日本の新幹線や高速道路というのは、津波のことを考えずに造られてきました。近年は〝それではまずい〟ということで、現在建設中の第二東名(新東名高速道路)は、津波がこない高さに造られることになった。スーパー南海地震の危険度が高い静岡県から、工事が始まっています」(高橋さん)

 スーパー南海地震は、悲劇を繰り返す可能性もある。

「静岡県西部に位置する御前崎の海際には、中部電力の『浜岡原子力発電所』があります。浜名湖のすぐ隣に位置するので、当然ここも危険エリアに含まれる。巨大な津波が原発を襲えば、東日本大震災のような悲劇が繰り返されるかもしれません。

 しかもいまの季節は北西季節風が吹いていて、御前崎から東京方面に向かって風が吹いています。もし浜岡原発で事故が起きたら、放射能が首都圏方向へ流れていくことになります」(高橋さん)

 未曽有の大災害はいつ起きてもおかしくない。防災グッズの準備や避難経路の確認など、できる限りの備えをしておくことが大切だ。

※女性セブン2021年12月2日号

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