女子ゴルフのハイレベルな「賞金女王争い」が佳境を迎えている。賞金ランク1位に立つ稲見萌寧(22)と2位の古江彩佳(21)。今季獲得賞金(11月19日時点)は稲見が2億5256万円、古江が2億3559万円となっているが、最終戦は賞金が高額なため古江が逆転する可能性も残されている。
2人は好対照な選手だ。プロゴルファーの沼沢聖一氏が語る。
「まずは体格(稲見は166cm、古江は153cm)が違う。古江は飛ばないがボールをファアウェイに置いてアプローチとパットが上手いタイプ。一方、稲見は男性プロのようにインパクトが強くてスピン量が多いボールでスコアを作る選手です」
最大の違いはコーチだ。
「稲見のコーチの奥嶋誠昭氏は3Dで動作を解析する世界最新機器を導入し、科学的・客観的な指導をする有名コーチ。対して古江のコーチは父親の古江芳浩氏です」(同前)
横峯さくらや石川遼など父親がコーチという選手は少なくないが、大抵はゴルフを知る父親だ。しかし、芳浩氏は異なる。
「サラリーマンで最初はグリップの握り方すら分からなかったそうです。雑誌やゴルフ番組で研究し、我流で指導してきた。古江はそこから強豪校の滝川第二に進んで頭角を現わしましたがナショナルチームに選ばれてからもあくまで『コーチは父親』という姿勢を貫いていて、メンタルやトレーニングのコーチすら付けていない」(同前)
芳浩氏の指導はゴルフ経験が少ないがゆえに“シンプル”だ。
「古江は高校入学時に父親から“ボギーを打たないゴルフを目指せ”と指導され、以来それを信条としています」(ゴルフ担当記者)