コミックの世界累計発行部数が4億9000万部を突破し、アニメでも人気を集める『ワンピース』(フジテレビ系)の放送回数がついに1000回目に。フジテレビでは『ワンピース』以外にも、さまざまな長編アニメを放送してきた。フジテレビの強みとは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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21日の放送で、アニメ『ワンピース』は記念すべき1000回目。1999年10月の放送開始から22年を超える長編アニメの大きな節目だけに、前日の20日には『海賊王におれはなるTV』で「アニメ1000話突破記念!声優の一味と宴だSP」を放送。ルフィ役の田中真弓さん、サンジ役の平田広明さん、ナミ役の岡村明美さん、ウソップ役の山口勝平さん、ロビン役の山口由里子さんら声優陣がゲスト出演して盛り上がりました。
さらに同日朝の『週刊フジテレビ批評』でも「アニメ『ワンピース』放送1000回目前SP!」を放送。制作現場を新美有加アナが取材し、初代オープニング原画が公開されたほか、監督やアニメーターが制作秘話を明かしました。
1000回目の放送では「超特報」の存在がツイッターで事前予告され、現在フジテレビ本社で「『ONE PIECE』ビジュアルフェス in フジテレビ」を開催中など関連イベントも充実。今年9月のコミックス100巻発売に続く節目だけに、まだまださらなる仕掛けが期待できそうです。
『ワンピース』の1000回は何が凄い?
アニメが1000回続いている理由としては、魅力的なキャラクター、明快なテーマ、壮大かつ緻密な物語、バトルや人間ドラマなどの見応え十分のシーン……。原作漫画『ONE PIECE』の素晴らしさや、アニメーション制作を手がける東映アニメーションの技術あってのことでしょう。
しかし、作品を放送するフジテレビにも、『サザエさん』を約52年、『ちびまる子ちゃん』を約30年、『ドラゴンボール』を約18年、『ゲゲゲの鬼太郎』を約11年にわたって放送してきた歴史があります。つまり、どのテレビ局よりも、長編アニメの放送プラットフォームとしての経験やノウハウがあるのです。
なかでも特筆すべきは、『ドラゴンボール』を筆頭に、連続性の高いストーリーの作品を長編アニメとして放送してきた経験とノウハウ。『サザエさん』などのような日常生活を描いたものや、『名探偵コナン』(読売テレビ・日本テレビ系)などのような事件解決型の作品は長編アニメ化しやすい一方、連続性の高い作品は長くても数年で終わらせるケースが多くを占めています。
放送期間が長くなるにつれて、マンネリを感じられたり、序盤との辻褄が合いづらくなったり、時代や人々のニーズと離れたりなどの問題が生まれていくもの。また、当初は小学生だった人が10年たてば大学生か社会人になるわけですから、ずっと視聴者として見続けてもらうことは困難です。