土曜ワイド劇場『家政婦は見た!』の最高視聴率は30.9%──かつて一世を風靡した2時間ドラマだが、昨今は減少傾向にある。高コストや予算減、若い世代の視聴率低迷などの理由で各局が撤退を余儀なくされるなか、あえて『月曜プレミア8』を新設し、面目躍如を果たしているのがテレビ東京だ。11月22日には新作『西村京太郎サスペンス 十津川警部の事件簿「悪夢」』が放映される。そこで同社プロデューサー陣に、いまなぜ2時間ドラマなのか聞いた。
2時間ドラマの先駆けは土曜ワイド劇場
──全盛期は週8本放送されていたという2時間ドラマも、2005年には『火曜サスペンス劇場』、2019年には『土曜ワイド劇場』……と専用枠の廃止が進み、2019年3月には完全に消滅しました。そんななか、2020年4月にテレビ東京では『月曜プレミア8』という2時間枠を新設(厳密には、月曜プレミア8は単発のミステリードラマやバラエティー特番を放送)。なぜ各局が撤退するなか、2時間ドラマの制作に踏み切ったのでしょう?
制作局ドラマ室長・浅野太さん(以下、敬称略): 一言でいうと、明確な需要を感じたからです。ほかがやらないならうちがやる、と。
『月曜プレミア8』チーフプロデューサー・中川順平さん(以下、敬称略): 2時間ドラマの再放送をするとゴールデンタイムより視聴率がいいときもあるんです。
──ではなぜみんな手を引いてしまったんでしょうか。要因は?
制作局ドラマ室プロデューサー・濱谷晃一さん(以下、敬称略):他局のことはわかりませんが、配信ドラマやYouTubeなどの台頭で視聴者が分散するなか、2時間ドラマに一定数のニーズは実感しているけど、できるだけ幅広い視聴者層に見てもらいたいという意向とのバランスだと思います。中高年向けに成立していればOKとはいかない。
中川:ファンのかたの声にこたえつつ、新たなファンを獲得していく両建てでやっていかないといけない時代です。
──2時間ドラマというと良質なサスペンスというイメージが強いですが、そもそも2時間ドラマはどのように生まれたのでしょうか?
浅野:1977年にテレビ朝日さんがアメリカのテレフィーチャー(テレビ用長時間映画)を手本に『土曜ワイド劇場』という90分のドラマ枠を作ったのが最初だと思います。当時は東映・東宝・松竹・日活・大映という5つの映画会社が毎週新作を公開していた時代。テレビが台頭してきたため、ブラウン管でも気軽に見られる映画を作ろうじゃないかということで生まれました。なので、制作スタッフは映画畑の人たち。2時間ドラマは16ミリフィルムで撮るのがスタンダードで、制作日数は1か月にも及んだと聞いています。
濱谷:いまでは考えられないスケール感ですね。ちなみに、最近は平均11日間です。