国会議員に対して、文書の発送費や交通費などの名目で月100万円が支給される「文書通信交通滞在費(文通費)」をめぐって、様々な議論が噴出している。もともと、日本維新の会の新人議員が、10月31日に当選したにもかかわらず10月分の文通費が100万円まるまる支給されたことに疑問の声をあげ、日本維新の会副代表である吉村洋文・大阪府知事が“領収書のいらないカネ”となっている文通費の制度を批判する急先鋒となっていたが、ここにきて維新に対して批判の矛先を向ける声も出てきた。
文通費を巡っては、在職1日でも100万円がもらえてしまう制度の在り方を変えるため、自民党や立憲民主党が今冬の臨時国会で「日割り支給に変更する法改正」を実現することで一致。ただ、吉村氏はそれに対しても「経費である以上、領収書をつけて精算する。余れば返金を可能にする。ここの本質が最も重要だ」として、“日割り支給批判”を続けている。
そうしたなか、注目を集めるのが、れいわ新選組の新人衆議院議員、大石あきこ氏(44)だ。大石氏は、「在職1日で文通費100万円」を批判する吉村氏自身が、2015年に衆院議員を辞職して大阪市長選に出馬した際、10月1日付に辞職して「1日で100万円」を受け取っていたことを明らかにした。吉村氏自身、これについては会見で「ブーメラン」と認めざるを得なくなった。
その大石氏はさらにツイッターで「維新が『100万円もったいない』と空騒ぎ。よう言うわ」「維新を倒すための戦費として私は100万円でも何でも使います」と挑発。元大阪府知事の橋下徹氏が「これがれいわ新選組の国会議員の実態」と批判し、ワイドショーにも取り上げられる騒ぎとなっている。
元大阪府職員である大石氏と維新の会には、浅からぬ因縁がある。大石氏は府庁職員時代の2008年、橋下氏が府知事に就任直後の朝礼で職員に檄を飛ばす最中、突然立ち上がり、「ちょっと待ってください! どれだけサービス残業やっていると思っているんですか」と噛みついて「大阪のジャンヌダルク」と話題になった人物。全国的な知名度は低いが、府民の間では「あ~、あの橋下はんに噛みついた女性職員かいな」と13年越しの“因縁の対決”に関心を向ける人も少なくない。