YouTube公式チャンネル登録者数は200万人超、プロ格闘家としての戦績は15勝3敗。不良時代のエピソードの凄まじさから「路上の伝説」の異名を持つプロ格闘家でYouTuberの朝倉未来(29)の注目度が高まっている。小説家で格闘技にも造詣の深い榎本憲男氏が、「朝倉未来というニュータイプの成り上がり」の魅力について、分析・考察する。
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AbemaTVの企画「朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円」は終わってみれば、やはりというか、順当にというか、朝倉未来が3人の挑戦者を、久保田覚 14秒、後藤祐樹 45秒、モハン・ドラゴン 37秒で、はやばやと立会人にストップさせ、全員を合わせても1分36秒という瞬殺で仕留めた。
この「○○に勝ったら」シリーズは、亀田興毅、亀田大毅、朝青龍、那須川天心と過去に4作品作られているが、個人的には今回がいちばん面白かった。終わった現時点で内容を振り返ってみると、あっさりしたものに感じられるかもしれない。しかし、“不良どうしの喧嘩”というヤバい企画の立て方が、朝倉未来の、そして再びブームになりつつある格闘技の原点回帰を示しているようで面白いのだ。
朝倉未来や格闘技のことを知らない読者に、すこし説明させていただきたい。まず、いま格闘技が、総合格闘技というジャンルで、火がついている。穿った見方をすれば、高度に情報化社会となり、なんでもかんでも情報化され、リモート化され、非接触になる中で、情報化されつくせない人間の根源的な欲望が噴出し、肉体を使って相手の肉体を制すという泥臭い格闘技がふたたび注目を集めていると解釈することができる。
次に総合格闘技とはなんぞやということについてごく簡単に述べよう。パンチやキックに加えて投げ技や関節技なども使って戦う格闘技、と理解してもらえればじゅうぶんだ。ということは、ボクシング、空手、レスリング、柔道、などさまざまな格闘技の技術を織り交ぜて戦うことになる。だから総合格闘技は英語ではMMA(Mixed Martial Arts)と呼ばれる。ある意味、プロレスに似ているが、ショー的な要素は極力そぎ落とされている。かなりの程度“なんでもあり”の、つまり喧嘩に近い格闘技だ。
さて、この総合格闘技の大会の中で、日本でダントツの人気を博しているのがRIZINである。そして、このRIZINの人気を支えているのが、朝倉未来なのだ。その証拠となるような一例を挙げよう。