結婚、出産、離婚、スキャンダル……。これだけプライベートが騒々しくとも、歌手として第一線で活躍し続けられるのは彼女だけではないだろうか。人気は衰えるどころか存在感を増して、今年も紅白歌合戦に選出された。あのライバルと一緒に──。
『第72回NHK紅白歌合戦』の出場者が発表された11月19日以降、芸能関係者の間である“競演”が話題になっている。
25度目の出場となる松田聖子(59才)と、7年ぶり2度目の選出となった薬師丸ひろ子(57才)の2人だ。両者の関係性を知る芸能リポーターの石川敏男さんは、この共演を「サプライズ」と位置づけてこう口にした。
「聖子さんと薬師丸さんは、デビュー当時からお互い比較されることが多く、共演NGが噂されていた時代もあったほどなんです」
聖子は、1980年4月に『裸足の季節』でレコードデビューした。人気絶頂の山口百恵さん(62才)が、突然引退を発表した1か月後のことだった。百恵さんの引退発表で寂寥感が漂う芸能界のなかで、聖子はトップアイドルへの階段を一気に駆け上がっていく。
同年10月にリリースした『青い珊瑚礁』でオリコン2位を記録すると、3枚目の『風は秋色』で初めてオリコン1位を獲得。年末の『第22回日本レコード大賞』では新人賞に輝いた。「ポスト山口百恵」は聖子に託されるはずだった。
そこに現れたのが薬師丸だ。
薬師丸は1978年に、映画『野性の証明』で女優としてデビュー。その後は『翔んだカップル』(1980年)、『ねらわれた学園』(1981年)などの映画で主演を務め、若手の映画女優として注目を集めていた。
アイドルと女優──本来ならば交わることがなかった2人が比較されるようになったきっかけは、1981年12月に公開された、薬師丸の主演映画『セーラー服と機関銃』だ。
「薬師丸さんの代表作になる映画ですが、薬師丸さんはこの映画で主題歌を歌い歌手デビューしたんです。歌が本業ではない女優が歌手デビューしたことでプレミア感が増し、話題性も手伝って、映画も楽曲も大ヒット。映画の舞台挨拶には、ファンが殺到して機動隊が出動する騒ぎになりました」(前出・石川さん)
主題歌は86.5万枚のセールスを記録。これは当時の聖子の最高売り上げだった『風は秋色』の79.6万枚を超える大ヒットだった。薬師丸は一気に、歌手としてもブレークし、同世代のアイドルを凌ぐ人気を獲得していった。聖子の前に、映画界から思わぬライバルが現れたのだ。
薬師丸の発言が聖子に火をつけた
ついに2人の“正面対決”が実現する。
1983年7月2日、聖子主演の映画『プルメリアの伝説 天国のキッス』が公開され、その2週間後に薬師丸の主演映画『探偵物語』が公開された。