ジャパンカップは中距離路線最高峰の戦い。昨年は3強がそれぞれ強いレースを見せた。競馬ライターの東田和美氏が考察した。
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実績では断然、臨戦過程も王道、しかも引退レースとなるコントレイルの独壇場で「相手探し」でいいはず。ただし天皇賞(秋)は陣営がベストという2000mでありながらラストの伸びが物足りず一世代下の皐月賞馬にしてやられた。高いレベルで堅実で大崩れは考えにくいが、ここは一発逆転の可能性がある「相手」を探してみたい。
2番人気に推されそうな今年のダービー馬シャフリヤールは前走・神戸新聞杯の走りがいかにも物足りない。神戸新聞杯出走馬は菊花賞に4頭が出走したが、1頭も馬券に絡むことなく3頭が二桁着順に沈み重馬場で走ったダメージがあったとも言われた。毎日杯をレコード勝ちしながら皐月賞を回避したように、レース間隔をとって使われてきたこの馬はどうなのだろうか。
ちなみにJCを勝ったダービー馬は2009年の牝馬ウオッカが最後。他に勝ったのはシンボリルドルフなど5頭。計6頭というのが多いか少ないかは意見の分かれるところだが、3歳で勝ったのはジャングルポケットだけ。三冠馬ナリタブライアンやオルフェーヴルはJCをスキップ、ネオユニヴァースやウオッカも3歳時は4着、レイデオロや昨年のコントレイルも2着まで。ここ10年で6頭がのべ11回出走したが未勝利だ。
いっぽうオークス馬はジェンティルドンナとアーモンドアイが連勝しているのを含めて3頭が5勝している。牝馬では2011年にブエナビスタが天皇賞(秋)4着から巻き返しているし、2015年のショウナンパンドラも宝塚記念、天皇賞(秋)とGⅠ連勝中のラブリーデイや、GⅠ6勝のゴールドシップを破っている。
3歳牝馬ではGⅠ未勝利のデニムアンドルビーやカレンブーケドールが2着に健闘している。
近年牝馬が強くなったということはあるにせよ、やはり斤量差が大きいのではないか。
馬格はほぼ互角ながら、コントレイルより4キロ、シャフリヤールより2キロ軽い53キロで出走できるユーバーレーベン。オークス後足元に不安が出てぶっつけとなった秋華賞では力を出し切れなかったが、一叩きした今回は極めて順調だという。オークスでは向こう正面でじわりじわりと位置を上げ、長い直線ではへこたれないスタミナと精神力が光った。
前走府中牝馬で初重賞勝ちをおさめたシャドウディーヴァはオークスで6着だったが、先のBCF&M勝ちラヴズオンリーユーからコンマ5秒、グランプリを3連勝することになるクロノジェネシスからはクビ、アタマ、クビのコンマ1秒差。右回りでは乗りづらさがあるというが、東京芝では【2 5 2 3】。エリザベス女王杯ではなくJCに照準を定めたハーツクライ産駒というのが不気味だ。