18歳以下の子供への合計10万円相当の給付の全貌がわかってきた。政府は11月26日、まずは年内に中学生以下の子供への5万円の現金給付を行ない、その後16~18歳の子供へ現金給付、来年春以降に残り5万円分をクーポンで支給する方針だ。ただ、給付を受けられない人たちからは不満や不安が伝わってくる。
この給付金を巡って、不満が噴出しているのが「所得制限」だ。自民・公明両党の協議では、給付に際して主たる生計者の年収を960万円(扶養家族が配偶者と子供2人の場合)などに制限することになった。そうなると、たとえば夫の年収が970万円の家庭には給付されないが、夫婦共働きでともに年収950万円ずつ計1900万円の家庭には給付されるという不公平が生じるケースもあり得る。
ここで年収960万円といった基準が設けられたのは「児童手当」の仕組みがベースとなっているからだ。経済対策を打ち出すにあたって岸田文雄・首相は基本方針として「スピード感を持って取り組む」と明言。そのため、給付には現行の「児童手当」の登録口座を使うことになり、児童手当に準じた所得制限が設けられるようになった。
児童手当では、3歳以上~中学生に子育て支援として1人あたり月額1万円が支給されている(3歳未満は1万5000円)。ただし、主たる生計者の年収が所得制限を超えた家庭は「特例給付」となり、月額5000円に減額される。子供が2人いて専業主婦の世帯の場合、制限の基準となるのが年収960万円以上というラインなのだ。
同じ年齢の子供がいても、もらえるか、もらえないかの違いが出てしまうことに、戸惑いを感じている人は少なくない。小学5年生の息子を持つ都内在住の40代女性が嘆く。
「先日、保護者会の帰りに息子の同級生の専業主婦のママ友4人でお茶して帰ったのですが、やっぱり子供への10万円給付の話になります。みんな、“早く給付してほしい”とか“5万円がクーポンになるなんてケチくさい”とかで盛り上がっているんですが、うちは所得制限ができたことでもらえないんです。でも、“うちは所得制限にひっかかって……”と言い出すのも気まずいので、なんとなく愛想笑いで話を合わせていました。正直、うちだって夫が激務で都心部に家に持っているからローンの負担も重いし、生活は決して楽じゃない。給付金がもらえないうえに、ママ友の会話まで気まずくて、何もいいことがないです」
この女性は、10万円給付のニュースを見た息子から「うちももらえるんだよね?」と聞かれた時も、反応に窮したのだという。
「正直に、“もらえない”と答えて、息子が学校でそれを話してしまったらママ友にも伝わるし……とか色々考えてしまい、もらえるといいよね、みたいな適当な答えをしてしまいました。児童手当については、額は5000円に減ってしまうけど、一応、所得制限を超えても受け取れますよね? 今回の給付金にもそういう制度をつくってくれれば、せめて気持ちが救われるのですが」