時代が変わっても、家庭で「性」の話題について話すのが難しいと感じる人も多いだろう。性教育が一般的でなかった昭和の時代であればなおさらだ。昭和9年生まれのジャーナリスト・田原総一朗氏(87才)が、いかにして性に関する知識を得たかを述懐する。
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僕の時代、学校ではまったく性教育はされませんでした。また当時は、性的な話をするのはあまり良くないという雰囲気があったから、大っぴらに友人と話すこともなかった。その上、小学6年生までは男女別々の教室で女性と触れ合う機会も少なかったんです。
性に関する知識は誰も教えてくれなかった。だから、高校時代に新聞雑誌などを読んで自主的に学んでいきました。しかし、雑誌で得た知識のみだから、そういうことは半知半解のまま大人になった。
そんな調子だから恥ずかしい話なんだけど、女房と新婚旅行に行った時は、具体的にどうしたら良いか分からずうろたえました。僕はまったくの童貞で、女房もまったく経験がなくてね。2時間くらい布団に入ったまま何もせずに終わった(笑)。
今の時代は映像で学んだりできるけど、昔はなかったから僕みたいな性に関する知識が乏しい人は多かったんじゃないかな。だから、自分の娘3人には、世の中で何をすべきか、好きな仕事をしろということは教えたけど、性教育に関してはノータッチで妻が教えました。「僕はまったく知らないしよろしく頼む」と。
僕らは女性との付き合い方をまったく学んでいない世代だから、森喜朗・元総理みたいに問題発言をしちゃうんだよね(苦笑)。もちろん、決して笑って許されることではないけど、我々は性とは距離があった時代だったことは確かです。
写真/本人提供
※週刊ポスト2021年12月10日号