北朝鮮代表団が11月中旬、食糧などの緊急支援を求めて、北朝鮮国境の中国遼寧省丹東市の中国政府機関を訪れていたことが明らかになった。北朝鮮は昨年1月の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、中国との国境を全面閉鎖して以来、必要物資の90%以上を頼る国境貿易を中断しており、国内は食糧を中心に深刻な物資不足に陥り、経済活動が停止状態になっている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
中朝両国の鉄道貿易は11月1日、丹東から鴨緑江を越えて北朝鮮の新義州までの往復区間で再開された。しかし、その8日後には、中国政府は丹東市内の新型コロナウイルスの感染者が急増したことを理由に、同市をロックダウン(都市封鎖)、鉄道による国境貿易は再び中止に追い込まれた。
北朝鮮の代表団が中国の政府機関を訪れたのは貿易が中止された直後で、話し合いを受けて、中国政府は北朝鮮が要求してきた食糧や各種原材料、建設資材などを提供することを決定した。
中国が北朝鮮に緊急支援物資を送るのは今年4月に約300トンのトウモロコシを列車で運んで以来だという。
北朝鮮からの報道によると、北朝鮮の食糧事情は非常に厳しく、餓死者も出ている。北朝鮮政府は、数百万人の北朝鮮人が犠牲になった1994年から1998年の飢饉に匹敵するような食糧不足に備えるよう、国民に伝えているという。
中国政府の関係者はRFAに対して、「代表団は、コロナウイルスが猛威を振るっている丹東に危険を冒してまで入ってきた。これは、北朝鮮の物資不足が極めて深刻であることを証明している」と述べたうえで、「北朝鮮が代表団を送って物資を要請し、中国側がただちに要請を受けいれたことで、これ以前に、すでに両政府の上層部では合意に達していたと考えられる」と指摘している。