体当たり取材などを得意とする女性セブンの名物アラ還記者“オバ記者”こと野原広子が、世の中の気になることについて、気ままな意見を投げかける。今回は、コロナ禍で増殖した口下手な人について綴る。
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先日、友達と1年ぶりに会って食事をしようということになり、待ち合わせ場所で顔を合わせたとたんよ。
「やだ~ぁ。顔が険しぃー」
と言って、顔をプイと背けられたの。
夏から4か月、里帰り介護で母親のシモの世話をしている私は、人づきあいのほとんどを絶っている。鏡も見ずにいた60女の顔は、そりゃあ険しくなっていたと思う。でも、会うなりそれ言う!?
また別の友達は、待ち合わせの店に行くと、「ドカドカ歩く足音で、店に入ってきたのがあなただってすぐにわかったわ。重量級の人って歩く音が違うね」だって。私、ケンカ売られた?
さらにさらに、こちらは友人というほどのつきあいではないけれど、数日前、あるマダムからランチに誘われた。マダムは以前から家庭内の小競り合いに関する話題が多い人だったけれど、以前は「こんな話、いくらしても仕方ないね」と、いい感じのところで打ち切っていたのよ。それが今回はエンドレス。夫がこう言ったから私はこう言ってやった。姑がこんなことをするから私はこう思ってこうしたと、オチのない話が延々。
たまりかねて私が、「そういえば○○さんはどうしているの?」と料理が出たタイミングで話の腰を折り、ほかの人もここぞとばかり○○さんの消息話に乗っかったけど、それで黙るマダムではない。
「で、私、どこまで話したっけ? そうそう、夫がね」と強引に元に戻しちゃう。
まぁ、私の知り合いだから“類は友を呼ぶ”で、性格濃いめなのかもしれないけれど、「久しぶりに会おうよ」ということになると必ず、ザラついた気持ちで帰宅することになるのよ。
行きつけの整体院で施術を受けながら、そんなことを整体師さん(34才・女性)に話すと、「ああ、それ、わかります」と、背中を押していた手が止まったの。
「私の友達もみんな会話が下手になっているっていうか、会うと、『えっ、それ言う?』とか、『この人、こんな言い方したっけ?』と思うことが多くて」と言うんだわ。
彼女いわく、
「私の友達に、ひとりで話してひとりで返事をするクセのある人がいるんですけど、コロナ禍で否応なくそういう状態に置かれた人が大勢いるってことですよね。
で、もしかしたら私も……?って、わが身を振り返ることになるんです」
まったく同感だ。
そもそも、私にとってコロナ禍とは何だったのかと考えてみた。否応なく人ごみに入っていかなくてはならないときのビクビク感のほか、仕事でも生活面でも「コロナ禍のせいで」と思うマイナスなことは数限りなくある。
だけど、「おかげで」ということも私の場合はあったのよね。