臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、給付金の1200億円の事務経費で批判を呼んでいる政府の税金の無駄使いについて。
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11月27日、「いくらかかるのかはまだ聞いていない。(給付金は)いずれ適切に執行されると思っている」と記者団に語り、世間を唖然とさせた鈴木俊一財務相。岸田内閣が決めた子育て世帯への10万円の給付金にかかる経費は1200億円。財務省からこの金額を伝えられた立憲民主党の後藤祐一氏が記者団にそう説明したというが、省のトップである大臣はこれを知らなかったらしい。記者団の取材に応じた写真には、マイクを向けられきょとん?とした様子の鈴木財務相が映し出されていた。
それにしても他人事みたいな発言ではないか。現金給付だけなら事務費は300億円、2回目をクーポンにすると900億円。これだけの税金が投入されるというのに、“聞かされていない”だけでなく“いずれ思っている”は、「自分が知らなくても、そのうち官僚らがうまく進めるから任せておこう」という意味に取れなくもない。
29日には、自民党の茂木敏充幹事長が「家計に滞留しては消費効果もない。クーポンで配れば、経費は当然かかってくる」と消費効果を強調し、公明党の山口那津男代表も「クーポンを使うことで迅速に低コストで給付できるようになる」と語ったとか。いやいや低コストにならないから批判が噴出しているのだろうし、900億円の事業を受注できる企業には経済効果もあるだろうが、そもそも給付金として配布するものに、消費効果を期待するのはどうなのだろう?と感じた。
山口代表は30日にも、「一定の経費が現金給付よりかさむということは、当然、やむを得ないところだと思います」と発言。「税金の無駄使いではないか」、「感覚がおかしい」と、政府や政治家たちの金銭感覚を疑問視する声が日増しに強くなっていった。